2021年06月20日 配信

飛ノ台史跡公園博物館で始まった「取掛西貝塚」のミニ展示スペース

6/19(土)船橋市初となる国史跡「取掛⻄貝塚」誕生

飛ノ台史跡公園博物館ではミニ展示始まる

 1999(平成11)年から調査を続けてきた「取掛西貝塚」(船橋市飯山満町1-1337-2外)は、6月18日に開催された文化庁の文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、国史跡に指定される旨の答申があった。

 同貝塚は、飯山満町から米ヶ崎町の台地に位置する約1万年前(縄文時代早期前半)の遺跡で、全体面積は約7万6,000平方メートルだが、今回、国史跡の指定を受けたのはそのうちの約3万9,000平方メートルの地域。

 取掛(とりかけ)西貝塚は、東京湾東岸部最古の貝塚であり、集落と貝塚の関係がわかる貴重な遺跡となっている。この地域で貝塚が形成される状況や環境、人々の生活・文化、社会を具体的に解明することができる、全国的にみても重要な遺跡であることが20年以上に渡る発掘調査を通してわかり、今回、史跡名勝天然記念物の新指定12件のうちの1件として国史跡に指定されることとなった。

 市教育委員会・松本文化教育長からは「このたび、国の文化審議会の答申があり、本市初の国史跡「取掛西貝塚」が誕生することとなりました。取掛西貝塚は、人々が急激な環境変動に適応し、海の幸を利用しはじめた様子を教えてくれる、まさに人と海との関わりのルーツとなる遺跡であり、東京湾の恵みにより人々が集まり、発展してきた『ふるさと船橋』の原点といえます。今後、市民のみなさんとともに、未来を担う子どもたちへ、先人が残した文化遺産を大切に伝えていきたいと思っております」とコメントしている。

 国史跡の指定を受けると、同地域の開発工事などから史跡を守ることが可能となる。同地は史跡を地下に残した状態での農地と住宅地であるため、現地では営農、住宅には住み続けることができ、その後の整備にあたっては、地権者の意向を十分に確認しながら保存活用計画が進められていくという。

 今回指定を受けた約3万9,000平方メートルのうち、船橋市市有地は約7,654平方メートル、約3万1377平方メートルは民有地となっている。「この場所が約1万年前から、開発工事などで破壊されることなくこの状態を保てたのは奇跡的なこと」と発掘調査の際に文化課の担当者は話していた。

 国史跡指定を受け、飛ノ台史跡公園博物館(船橋市海神4-27-2)では普及活動の一環として、6月19日から「いよいよ国史跡指定へ 取掛西貝塚ミニ展示」を行っている。8月14日には船橋市勤労市民センターのホール(船橋市本町4-19-6)で講演会「取掛西貝塚を考える~約1万年前の縄文ワールド第4弾~」を開催予定だという。

 飛ノ台史跡公園博物館の学芸員・畑山智史さんは「船橋は歴史があり、古いものがたくさんある地。船橋初の国史跡指定をきっかけに、あらためて郷土の歴史を見返していただけたら」と話す。

 飛ノ台史跡公園博物館の取掛西貝塚ミニ展示スペースでは、同貝塚から剥ぎ取って移設された実物の貝層展示のほか、掘り出されたヤマトシジミなどの貝殻の展示、出土された土器をつなぎ合わせて復元した土器の展示などもある。同展示は7月11日まで。

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※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 底が丸いのが特徴だという船橋最古の土器

  • 2018年の発掘調査の様子

  • ミニ展示では貝塚から一部を剝ぎ取った展示も

  • 貝塚に実際あったヤマトシジミの展示

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yumiko_mikami

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MyFuna編集長のミカミです。子育て中の主婦ですが、MyFunaを通し、自分が住む街を知ることの大切さに気づかせてもらっています。
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