2023年09月15日 配信

鏝絵を手にする小倉さん(左)と松戸市長

9/15(金)船橋在住の左官技能士が地元の海産物を使った鏝絵を市に寄贈

「伝統技法や文化を子どもたちに伝えたい」

 船橋市在住の一級左官技能士・小倉勇さん(40)が三番瀬の海産物を活用して船橋市の市章をデザインした鏝絵(こてえ)を寄贈するため、9月14日、船橋市役所(船橋市湊町2-10-25)を訪れた。

 鏝絵とは江戸時代から伝わる左官の伝統技法で、左官の道具である鏝(こて)を使って漆喰で描く立体的な装飾画のこと。

 小倉さんは船橋生まれ、船橋育ちで18歳から左官業に就き、国家資格である一級左官技能士の資格を持つ。小倉さんは今回の鏝絵の原材料に船橋産のホンビノス貝と海苔を使用した。 。

 ホンビノス貝は、廃棄予定のホンビノス貝の貝殻を漁師から譲り受け、1年間自然乾燥させ、小倉さんが鏝絵用に手作りした焼窯で1000度の高温で焼き、生石灰化した。海苔は、ゴミが付着した海苔を使用し、ていねいにゴミを取り除いた後、煮だして糊を作り、この2つの材料を混ぜ、3年間寝かせてから鏝絵に用いているという。

 「勉強した本によると漆喰は本来それぞれの地元独自の素材で、左官職人が一から材料を作っていたそうです。鏝絵は20歳の時から『いつかやってみたい』と思っていました」と小倉さん。

 「屋根瓦葺き」や「畳制作」など日本の伝統技術がユネスコ無形文化遺産に登録されたことに刺激を受けて、4年前から仕事の合間に試行錯誤しながら鏝絵を始めたと振り返る。

 子どものころから船橋市の郷土芸能である「ばか面踊り」を踊ってきたという小倉さん。今は子どもたちに指導もしている。300年続く「湊町八剱(やつるぎ)神社本祭り」の神輿を担いだり、大神宮の神楽では笙(しょう)を演奏するなど地元の伝統文化の継承者としても精力的に活動している。

 「ばか面はコロナで練習ができなくなったのをきっかけに、離れてしまった子どもたちもいる。鏝絵のような日本の伝統工法や漁業、地元の祭りに子どもたちにも興味を持ってもらいたい」と小倉さん。

 練習のために小倉さんは仕事の合間に家紋の鏝絵も描いており、「現在23作品作ったが、目標の30に達したら展示したい」と夢が膨らむ。

 寄贈された鏝絵は近日中に浜町公民館(船橋市浜町2-1-15)に飾られる予定。松戸市長は「鏝絵は大切にして、解説を付けて鏝絵の技術を知ってもらいたい」と話した。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
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  • 鏝絵を船橋市に寄贈する小倉さん

  • 鏝絵について熱く語る小倉さん

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典子牧

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