2023年02月17日 配信

山猫の親分のシーン。舞台中央(写真左)では天雨さんがピアノ伴奏。

2/17(金)きららホール「発掘プロジェクト」選出の若手がオペラ旗揚げ公演

「船橋でオペラの素晴らしさを伝えたい」

 きららホール(船橋市本町1-3-1 フェイスビル6階)で月1回行われている「ちょっとよりみちライブ」で2月16日、昨年7月に「発掘プロジェクト」で選出された「天雨(あまう)劇場」によるオペラ「注文の多い料理店」の旗揚げ公演が行われた。

 「ちょっとよりみちライブ」は2003(平成15)年から「きららホールで一日の疲れを忘れてほっとするひとときを提供しよう」と始まったもの。月に1回、木曜日の18時30分からさまざまなジャンルの演奏家を迎えて開催している。入場無料、演奏時間は約45分。

 きららホールの朝比奈晃佑さんは「『発掘プロジェクト』は将来的な成長、可能性を秘めた原石を発掘し、市民の皆様に紹介するプロジェクト。『天雨劇場』の代表・天雨航平さん(26)は船橋でオペラの素晴らしさを伝えたいという熱意と地元愛にあふれている」と採用の理由を話した。

 「天雨劇場」は世界3大歌劇場の1つであるミラノ・スカラ座のアカデミー・コレベティトールコースで学んでいる天雨さんが立ち上げたオペラに特化した団体。コレペティトールとはピアノ伴奏をしながら歌唱指導をしたり、オペラの舞台に関するさまざまなサポート的なこと、歌手のメンタルケアにいたるまで、演出家とは別の面でオペラを陰で支える職業である。

 日本とミラノを行き来する生活を送っている天雨さんは、自ら運営する「天雨航平アカデミー」を学びの場とし、オンラインで稽古をして今回の舞台のための情報を出演者と共有し、今月に入りってから立ち稽古を行って本番に臨んだという。

 「オペラは、歌手、オーケストラなど演奏だけでなく、衣装、大道具、舞台装置などすべての芸術が詰まった総合芸術。それを生声、生演奏でリアルの観客に届けることが魅力」と天雨さんはオペラへの熱い思いを話した。

 今回のオペラは宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」をもとに天雨さんが書いたオリジナルの台本で作詞作曲も手掛けている。「子どもたちにも楽しんでもらいたいので小学校の教科書に載っている同作品を選んだ」と天雨さん。「イタリアではオペラは子どもたちにも身近で決して敷居の高いものではない」とも。

 今回の出演者は、現役オペラ歌手など声楽家のほか、「オペラは初めて」という元保育士などもいた。中には天雨さんのツイッターを見て応募したという人も。出演者の堀野幸枝さんは子どもと音楽に関わる活動を埼玉県でしているが「わが子も子どものころからオペラになじんでいて、大人になった今もオペラが大好き」と話した。

 公演を終えて天雨さんは「明日からは『ラ・ボエーム』などの稽古を始め、年内には船橋で上演したい」と話した。また「将来は47都道府県全てにオペラの稽古場を作り、上演できるようにしたい」と目を輝かせた。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 終演後、笑顔の出演者。右から4番目が天雨さん

  • 紳士と白熊のような犬の場面

  • 開演前の天雨さん

  • カーテンコールでは客席から大きな拍手が起こった

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