2022年07月05日 配信

soyaiko工房代表の西島さん(写真右)

7/5(火)二宮に菓子製造「soyaiko(そやいこ)工房」

40年以上市民交流が続く北海道津別町の定番土産「津別峠」を承継

 船橋市と40年以上市民間交流が続いている北海道津別町で定番土産と言われつつも、後継者がいない為に事業承継が進んでいなかった洋菓子店「しのはら」の味を継承・再現することに成功した「soyaiko(そやいこ)工房」(船橋市二宮2-1-4、TEL050-1550-4674)が6月14日営業を開始した。

 同店を経営するのは、障がい福祉事業や飲食店経営などの会社を所有する西島希美さん。「soyaiko」の由来は、アイヌ語でミツバチを意味する「soya」と、宝物を意味する「ikor」を合わせた造語。

 西島さんの経営する「株式会社honeybee」で同工房を経営、菓子製造などの作業は、就労継続支援A型事業所の「こむはにぃ」に委託する形で運営している。

 約15坪の店内には、イートインが4席。店内スペースのほとんどは厨房として菓子製造の為に活用されている。営業時間前の10時~13時迄は製造の時間になっていて予約商品の生産などに充てている。

 壁や天井を同工房に関わるスタッフと漆喰(しっくい)で手塗り、テーブルやいすにもエイジング加工を施した木材を活用。自然の優しい手触りと温もりの中でくつろげるようにデザインしている。

 メインとなる商品は、北海道津別町の定番土産「津別峠」(アーモンド、パンプキンいずれも180円※税別)や千葉県内産の農産物を使った「soyaikoクッキー」、「ハーブクッキー」(いずれも200円※税別)などの焼き菓子類。

 パッケージにも工夫を凝らし、「『障がい者の作業所が作ったからバザー価格』というのではなく、商品として力のあるものなのでパッケージ作りからこだわらせてもらいました」と、同工房の立ち上げに関わった筋野さん。パッケージデザインは、友人のデザイナーに依頼。津別の森と船橋の海をあしらったという。

 ドリンクは、市内でガス会社が新規事業で始めた還元水素水で洗う事で不純物や農薬を取り除いているという「大和久コーヒー」から仕入れるコーヒー(アイス・ホット、いずれも300円※税別)、月替わりドリンク(取材日は、クラフトソーダ、クラフトエード400円※税別)など。

 「津別峠」は、ギフトBOXも用意されており3個セット(800円)、4個セット(1,000円)、6個セット(2,400円)、8個セット(1,700円)(3,100円※いずれも税別)を用意する。

 「体に優しい素材を使ったお菓子を扱うので素朴な味付けですが、飽きずに食べて頂けると思います」と、西島さん。「この場所は、二宮小学校、中学校の登下校ルートにあるので、一度お母さんと一緒に来店してくれた子ども達が目が合うと窓の向こうから手を振ってくれるのがうれしい。地域との距離が近いのがうれしいです」とも。

 営業時間は、13時~18時。月・金・土・日定休。

船橋市と津別町、市民交流の歴史

 船橋市と津別町が市民交流を始めたきっかけは、40年以上前。津別町から船橋市に移住してきた一人の経営者が、船橋市内にあるボランティア団体「ライオンズクラブ」に入会。当時のクラブメンバーが同町を訪問し、豊かな自然と町民の人柄にふれ、「津別町の農家の花嫁を見つけてやろう」と奮起。こうして、市民レベルでの交流が始まった。

 その後、船橋市の青少年課と連携し船橋市と津別町の青少年交流事業に発展、長期休みを活用した交換留学が行われるようになった。津別町の住民はその多くが少年期に船橋市で宿泊体験をし、ほぼ同数が船橋市から津別町への宿泊を体験した。

 津別町の少年達は、ディズニーランドやふなばしアンデルセン公園で遊び、船橋市の子ども達はフィールドワークなどを通じ自然を堪能する事業として定着した。

 交流が始まった当時、船橋市の職員だった松戸徹現市長と佐藤多一現町長はその後、互いに行政トップに就任、市民間交流はさらに一歩前進。2015年には当時人気絶頂だった船橋市を代表するご当地キャラクター「ふなっしー」が津別町に上陸した。この頃から船橋市民が「地域おこし協力隊」制度を活用して津別町に移住、定着するようになり、現地の会社に就業・現地での創業という流れが生まれた。

 今回「津別峠」を承継した「soyaiko工房」はこの頃に、津別町に福祉事業所を新設した「ぐらすグループ」の事業体。「しのはら」店主は「津別峠は津別町に買いに来る土産」と考え、津別町から外での販売をする考えはなかったという。もちろん、通信販売も行ってこなかった。しかし、「津別峠」に魅せられた西島さんが津別町を訪問するたび、足繁く通い詰め説得を繰り返したことで店主の了解を得ることができ、製造方法の伝授を受けられた。

 しかし、「津別峠」制作は、レシピの伝授だけでは叶わなかったという。「気候の問題、特に関東地方の湿気対策が大変でした。作業を迅速に行えるように手順を見直し、パッケージの中に一つずつ乾燥材を入れることで何とか味の再現ができ、篠原さんにOKを頂けましたが、何千回も作り直ししてようやく満足いく出来になったのでほっとしました」と西島さんは振り返る。

 7月5日、西島さんは完成した「津別峠」を松戸徹市長に手渡し、「津別峠」の味を承継した事を伝えた。「津別町と船橋市の友好の証として何かの形で活用していきたい」と松戸市長。「人と人とがつながる事が思わぬ力になっていく」と、笑顔を見せた。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 焼き菓子をメインに製造・販売

  • 津別町の「津別峠」を再現した船橋バージョンの「津別峠」

  • コーヒーと津別峠、オリジナルの焼き菓子の販売

  • きっかけとなった松戸市長にも報告に

この記事を書いた人

山﨑健太朗

山﨑健太朗

船橋のタウン誌MyFuna、ネットニュースMyFunaねっと、船橋経済新聞を立上げ、現在は千葉県内全域のローカルニュース編集者と連携する「ちばごと」編集部を立ち上げています。主婦と高齢者をライターに育成し地域から日本を元気にする仕組み作りを目指しています。
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