2022年03月26日 配信

食べ終わった食器を田鎖さんの元へ運ぶ、100歳の利用者

3/26(土)船橋市内デイサービス利用者が「注文を間違えるレストラン」試運転

認知症の人が飲食店を利用することで社会との接点を

 新京成線・高根木戸駅からほど近い場所にある「コミュニティカフェあいりす」(船橋市習志野台1-11-4、TEL 070-1183-1817)でまん延防止等重点措置が終了した翌日となる3月26日、認知症の人が社会との接点を持つことを目的としたイベント「JAZZ and POPS LIVE at Community Cafeあいりす」が開催された。

 「コミュニティカフェあいりす」の店主は医療ソーシャルワーカーでもある田鎖暁子さん。さまざまな背景を持つ人が気軽に来て話ができるような「近所の親戚の家」に行くような感覚の居場所作りたいと、2021年6月に同店をオープン。オープン当時、「ここに医療関係者や福祉関係者なども集ってもらい、双方が気軽に話せるようなコミュニティにしていくのが理想」と話していた田鎖さんだが、「コロナ禍においてイベントを実施することは難しかった」と振り返る。

 田鎖さんは介護・福祉業界で16年以上のキャリアを持つ。以前から仕事でつながりがあったのが、市内デイサービス「御滝庵」(船橋市咲が丘1-11-7)の同施設副社長・岡野純子さん。田鎖さんは「岡野さんとは以前から、ここで認知症の方が何かできるイベントをやりたいねって話をしていたんです」と話す。

 「御滝庵」代表の石井千雅(かずまさ)さんは「認知症の人がレストランでオーダーを取って、それを配膳するっていう『注文を間違えるレストラン』みたいなことができたらと思っていて。今回はそれの変形版として、認知症の人が自分で配膳できたら…と。貸し切りで行うのではなく、あえて一般のカフェ利用の方もいらっしゃる中で開催することで、認知症の人の積極的な社会参加を目指しています」と話す。

 同日にはデイサービス利用者6人が施設スタッフと共に来店。田鎖さんは「当初は配膳もみなさんにやっていただこう、と岡野さんと計画していましたが、急遽開催を決めたため、元々決めていたメニューでは重さの問題などがクリアできなくて。今回は配膳はスタッフが行いました。みなさん、ドリンクの注文もされましたよ。私としては初開催のイベントで、無事にみなさんに料理を提供できるのかヒヤヒヤしました。まずはテスト開催ができてよかったです」と振り返る。

 田鎖さんは「この時期にイベントをやるのはどうかという声もあるかとは思いますが、この方(認知症を患う人)たちにとっての今の時間は、貴重な時間です。すでに2年、イベントなども我慢して過ごされてきています。健常者の2年とサービス利用者の方の2年は、全く違うもの。やるなら今しかない!と開催を決断しました。これでうまく行けば、少しずつ改善していき、みなさんが楽しんでいただける形にしていきたい」とも続けた。「ただ、こういう時期なので、今回はあまりいろんな人とお話したりしない非接触型での開催にしました」と御滝庵・岡野さん。

 同日のランチメニューは、「ビーフシチュー」か「焼きそば」で各500円で提供された。利用者の中には100歳の利用者も。ほとんどの人がランチを完食し、その後、空いた器を載せたトレイを田鎖さんがいるカウンターまで自ら運んだ。空っぽになった器を見て「みなさん、すごい!」と田鎖さんは驚いた表情を見せていた。

 食後には御滝庵の代表・石井さんがパーカッショニストでもあることから、チャージ無料の「JAZZ&POPSライブ」を開催。店内にいた客と合わせ、約15人が生演奏を楽しんだ。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 食後のお楽しみとして音楽ライブも

  • 左がアイリス店主・田鎖暁子さん。今日は母と娘もヘルプに入った

  • 利用者も完食したビーフシチュー

  • 「ファミリークリニック」の奥に店舗入り口がある

この記事を書いた人

yumiko_mikami

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MyFuna編集長のミカミです。子育て中の主婦ですが、MyFunaを通し、自分が住む街を知ることの大切さに気づかせてもらっています。
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