2021年07月09日 配信

船橋市立医療センター呼吸器内科部長の中村祐之さん

7/9(金)きららホールで現役医師が「新型コロナウイルス感染症」の解説

第42回船橋市立医療センター公開医療講座

 市民文化創造館きららホール(船橋市本町1-3-1船橋FACE6階、TEL 047-423-7261)で7月8日、船橋市立医療センター呼吸器内科部長の中村祐之(なかむら すけゆき)さんを講師とする 医療講座「新型コロナウイルス感染症について~今わかっていることを正しく知って、適切な対応を~」が開催された。

 医療センターでは年間4回公開講座を開催している。今回は令和3年度では初回に当たり、今新型コロナウイルスについて、正しい情報をもとに、冷静な行動をとることが重要となるため、同講座の開催に至ったという。

 中村さんは呼吸器内科、肺がんを専門分野とする同院で新型コロナウイルス感染症にも精通している現役医師。

 講座が始まる前に、医療センター院長の丸山尚嗣さんから、院内で新型コロナウイルス感染の入院患者からスタッフが感染したが、大きな感染拡大にすることなく、院内感染対策をしているので安心して来院してほしいなど、あいさつがあった。

 講座は「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識」(厚生労働省のHPより)のQ&A形式で解説が進んだ。「新型コロナウイルス感染症の患者数・病原性」「新型コロナウイルス感染症の感染性」「新型コロナウイルス感染症に対する検査・治療」「新型コロナウイルスの変異株」に分け、それぞれの質問に対し、プロジェクターにデータやイラストなどでわかりやすく解説が進んだ。

 最初にかぜ、SARS、MARSと比較できる表を表示し、致死率に着眼。新型コロナウイルス感染症の致死率は2.2パーセントで、SARS9.4パーセント、MARS34.4パーセントに比べ低いが「致死率が高いとウイルスも生き残れないので、2.2パーセントぐらいだとパンデミックが起きやすい」と説明。

 感染した人のうち、重症化しやすい人、リスク要因や要注意な基礎疾患について、世界の中で日本は感染者数が78万人で世界では34番目になることなど、イラストや表がプロジェクターに映し出された。

 感染者がほかの人に感染させる可能性がある期間は7~10日間、ほかの人に感染させているのは2割以下で、多くは感染させていないとの話があった。しかし、新型コロナウイルスは発病前のウイルス排泄がSARSや季節性インフルエンザに比べ2日前からになり、症状がなくても感染力は高い場合があるのだという。「したたかなウイルスなんです」と中村さん。

 そして、感染経路について、これまでの大きな飛沫や接触感染だけでは説明がつかない事態があり、小さな飛沫がエアロゾル(マイクロ飛沫)になり空気感染していることが考えられている。さらに、マスクやフェイスシールドについては、吐き出し飛沫についても、吸い込み飛沫についても、不織布マスクが一番効果があることやお互いがマスクをしなければリスクを回避できないことも説明。

 最後に変異株について、現在わかっていることの一覧が表示された。罹患者よりもワクチンを2回打った人の方が抗体が高いこと、2回打っても再度罹患する人はいるが重症化は避けられる、全体としてクラスターは減っているのでワクチン効果が高いことなどの話があった。

 質問タイムでは、デルタ株(インド株)は感染力が強いというが、従来の対策のままでいいのかという質問があった。中村さんからは「同じ対策でいいです。体に入ってこないように努力していればいいです」と回答があった。

 この日集まった来場者は33人だった。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 医療センター院長の丸山尚嗣さん

  • 会場の様子

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