2021年05月06日 配信

左から「芳蔵園」加納慶太さん、「石神農園」石神昂輝さん、「963」オーナーシェフ・黒川裕士さん

5/6(木)「963(くろさん)」が船橋にんじん「ベーターキャロット」を使ったポタージュ完成

冷凍パウチにしての販売も予定

 「日本一のクラムチャウダー」でも知られる「ラーメン963」(船橋市本町2-27-20、TEL047-498-9006)が5月2日、地域ブランド「船橋にんじん」の中でも食味が良く栄養価も高いといわれる「ベーターキャロット」のうち、市場には出せない規格外の人参を使った「船橋にんじん」のポタージュスープを完成させた。

 市内では4月下旬から、地域ブランドになっている「船橋にんじん」の収穫期を迎えている。一方、「船橋にんじん」の中でも、より柔らかく、食味が良く、栄養価も高いといわれる品種「ベーターリッチ」(商品名:ベーターキャロット)については、規定の大きさに育てることが難しいこと、非常にデリケートな品種であることから、かつては約20件あった生産農家のうち現在も生産を続ける農家はわずか4件となった。そのうち2件の農家では、「連作障害」による症状が見られる「ベーターキャロット」が多く発生し、市場に出荷できず廃棄をせざるを得ない状況にあるという。

 人参は土壌の成分などによって人参にシミができたり、大きく割れるといった症状が発生する。市内で20年ほど前から「ベーターキャロット」の栽培を続けているJAいちかわ船橋ベータキャロット組合長の石神辰巳さんの息子・昂輝(こうき)さんは「人参のシミは、割れているものよりも低く評価される。シミがある人参は商品にはならないものと思っていたので、人様の前に出したことがない。そうした人参を廃棄しなくてはいけなかったことに、シミを削れば食べられるのに…とくやしい思いをしてきた。しかし、今回、初めてシミがある人参を買い取っていただき、手を加えてもらうことで1つの商品として出してもらえることがうれしい」と話す。

 今回、こうした規格外の「ベーターキャロット」を使ったポタージュスープが生まれたのは、船橋市役所で行われていた「イブニングマルシェ」がきっかけとなった。同所では一次生産者が作物を販売するブースと、キッチンカーがテイクアウト専用のフード販売を行っていたが、ある日、市内の20~30代の生産者で構成される「船橋4Hクラブ」と「日本一のクラムチャウダー」でも知られる「ラーメン963」が出店している日があった。

 そこで「船橋4Hクラブ」のメンバーでもあり、近年、「フードロスを無くしたい」と活動を続ける梨農家「芳蔵園」(船橋市二和東)の加納慶太さんは、4H仲間の石神さんの畑では廃棄対象となる「ベーターキャロット」がたくさん出ていることを、同日に出店していた「ラーメン963」のオーナーシェフ・黒川裕士さんに相談した。

 相談を受けた黒川さんはすぐにサンプルを受け取り、その後すぐに30kgを購入。黒川さんは「産地が定まらない人参を使用するよりも、船橋の人参を使用できることにメリットがあると感じて使ってみようと思った。使ってみたら素材がとてもよく、ブランド人参であるベーターキャロットを使ったシンプルなポタージュスープにしたいと試行錯誤して作りました」と話す。

 黒川さんは「素材が良いので入れているものはシンプルにしています。濃厚なのに後味は軽い感じ。完全無添加で作っています。冷製スープとしても温めてもうまいですよ」と胸を張る。

 今回で廃棄対象となる「船橋にんじん ベーターキャロット」を使用したポタージュスープが完成したのは、これが2例目となる。昨年は人参農家「重兵衛(じゅうべえ)園」と北習志野の飲食店「Zuccamo(ツッカーモ)」が作った「船橋産ベーターキャロットのポタージュスープ」が完成し、現在も冷凍パウチにして販売を続けている。

 廃棄野菜について黒川さんは「今後、必要な取り組みだと思ってます。簡単にはいかないと思いますが、生産者、加工業者、販売者、販路含めて全ての人がやってよかったと思える取り組みができたら幸いです。今回は人参に特化した取り組みですが、これからこの輪を広げていけたらと思います」と話す。

 生産者である石神昂輝さんは「こうしてシミがあっても『ベーターキャロット』を使ってもらえたことは、ベーターそのものの味が認められたように感じ、とてもうれしい。廃棄野菜を無くしていくことは農家だけの力では到底できない。今回は、流通の面で慶太さんが協力してくださったので実現できた。今後もみんなで力を合わせて取り組んでいけたら」と話した。

 現在、同商品は発売に向けて価格、商品名を検討中だという。「日本一のクラムチャウダー」と同様、冷凍パウチにして販売を予定し、まずは「963」の店頭とECサイト「BASE」を使って販売していく予定。今後は現在も「日本一のクラムチャウダー」を販売している百貨店やイオンなどのスーパーでの販売も予定しているという。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 甘みのある「ベーターキャロット」と玉ねぎを使用(写真=963)

  • (写真=963)

この記事を書いた人

yumiko_mikami

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MyFuna編集長のミカミです。子育て中の主婦ですが、MyFunaを通し、自分が住む街を知ることの大切さに気づかせてもらっています。
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