2021年04月20日 配信

笑顔の生産者(右から仲村さん、石神さん、石井さん)

4/20(火)421日から「船橋にんじん」の出荷始まる

「地元の人に生でもおいしいベーターリッチを味わってほしい」と生産者

 「船橋にんじん」が421日に長印船橋青果(船橋市市場1-8-1 船橋地方卸売市場内)に初出荷を迎えるのに先立ち同19日、報道関係者向けにお披露目会が行われ、生産者を代表してJAいちかわ船橋人参共販推進委員会副委員長の石神辰巳さん(53)が、自身の畑(古和釜町)で今年の出来栄えを話した。

 船橋市で栽培されるニンジンは収穫量、作付面積ともに千葉県1位で、全国でも有数の規模を誇る。1967(昭和42)年には国4月の指定産地認定を受け、2013(平成25)年には「船橋にんじん」としては全国で初めて特許庁の「地域団体商標」に登録された。市内では北部を中心に約80軒の農家が栽培している。

 石神さんは「昨年12月から1月にかけて寒い日が続き、3月からは暖かかったことからニンジンの成長が例年よりも早く、1週間から10日早い出荷となる」と話した。この日披露された「船橋にんじん」は「ベーターリッチ」という品種で通常のものよりもベータカロチンが1015%多く含まれる。「ベーターリッチは生で食べるのがおすすめ。ジュースは糖度が高くさらりとしていて飲みやすい。緻密な肉質で繊維質がかなり少なくスッと喉に通る」と石神さん。実が柔らかく傷みやすい品種のため、暑くなる前の早い時期に出荷できるように栽培しているという。

 石神さんは「ベーターリッチ」の栽培を20年位前から始めたが、昨今ニンジンの品種は目まぐるしく変わり、管理技術の向上と消費者から味の良さが求められるようになった。石神さんによると「ベーターリッチ」は一時船橋市の生産量の15%ほど占め20人位の組合員が栽培していたが、現在は連作障害による乾腐病などで出荷量が激減し、生産者は石神さんを含めて4人だけとなった。「この病気に勝った産地はないほど難しいもの。『農業センター』(金堀町522-1)などと協力しながら6年位取り組みを続けている。諦めるのは簡単だが、この食感、味は他にはないものなので栽培にこだわっている。船橋の市場に出荷し、できるだけ船橋と近隣の人たちに食べてもらいたい」と石神さん。石神さんは自身の90アールの畑の7割で、この品種を栽培している。

 「ベーターリッチ」など野菜を高根町で栽培している仲村学さん(43)は、石神さんと共にベーターリッチを立ち上げた父親の後を6年前に継いだ。「お客さんに『ベータリッチはおいしい。また来年も食べたい』と言われるとうれしい。ベーターリッチは栽培が難しく去年は出荷できたのは収獲の4分の1だったが、乾腐病にいつかは人間が勝つと思っている」と笑顔で話した。

 八木が谷で農業を営む石井直樹さん(34)も実家の農家を継ぎ、ベーターリッチの栽培を去年から始めた。「ベーターリッチはおいしいがまだ市民にもあまり知られていない」とインスタグラムや直売所でおいしさを広めている。

 6月10日頃までには「ベーターリッチ」の出荷を終える予定で、それ以降は他の「船橋にんじん」の収穫が6月末まで続く。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 今年の出来栄えを説明する石神さん

  • 「収穫は機械でしますが以前は手作業で大変でした」

  • 収穫直後のみずみずしいベータキャロット

  • 乾腐病で割れがあるニンジン

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