2021年04月06日 配信

小児医院のパース図

4/6(火)夏見の小児科「トレポンテ」が今夏移転

日本初・船橋発の医療機関を内包した医療的ケア児の支援施設に

 不動産会社「京葉エステート」(船橋市行田1-48-7、TEL 047-429-7272)は現在、船橋市立医療センター近くの病児保育も行っている小児科医院「こどもクリニックトレポンテ」の意思を継いだ、日本初となる形態の小児医院を作るため、移転新築工事を「トレポンテ移転予定地」(米ケ崎町656-1)で着工している。

 同施設は、小児科医院と調剤薬局の機能に、病児保育事業、障がい児を預かる児童発達支援事業、医療的ケアを必要とする子ども(以下医療的ケア児)をサポートする事業の、医療と福祉の両面をサポートする。それらを、同一建物・同一事業者により運営する点が、日本初の試みであり、特徴ともいえる。

 同社はこれまでも、シニア向けのシェアハウス「塚田のなかにわ」や知的障がい者と精神障がい者のための日中一時支援事業所「塚田のなかにわテラス」など、障がい者や高齢者の居住弱者のための住居や、障がい者施設を手掛けている。「船橋が障がい者に優しい街になることを目指している」と同社社長の高橋弘明さんは話す。

 そして今回、高橋さんは「お母さんを助けるための施設を作りたい」と、この医院の開設に向け尽力している。これまで見過ごされてきたのが医療的ケア児の世話をしてきた母親だという。その視点は「こどもクリニックトレポンテ」の院長・村社歩美さんの話の中にあった。医療的ケア児の母親は若い時間を子どもの世話に追われ、2人目を作ることにも消極的になり、かつ高齢出産になってしまうという現実があるという。そういったことをなんとか解消したいとの村社さんの思いを聞き、何か手伝えないかと思ったのだという。

 医療的ケア児とは、日常生活を送る上でたんの吸引や経管栄養などの医療的ケアと医療機器を必要とする子どものこと。医学の進歩を背景に、命を落としていたケースでも、NICU(新生児集中治療室)などで入院することでその命をつなぐことができるようになり、医療的ケア児も増えている現状から、高橋さんは「命が続くことは素晴らしいこと。だからこそ、医療的ケア児をサポートできる施設が必要なんです」と話す。「これまで母親が全て引き受けなければならなかった、例えばたんの吸引や経管栄養などのケアを、支援、サポートできる場所がますます必要になるだろう」とも。「それが医者のいるところだったら安心して預けられるでしょう。お母さんが息抜きできる環境を整えてあげたいんですよ」と高橋さん。

 同施設の設計を手掛けたのが、同社設計部の一級建築士小林千尋さん。高橋さんと村社院長の「開かれた、みんなが行きたいと思う施設でなければいけない。医療的ケア児や障がい者を外から何も見えないような箱の中に閉じ込めるのではなく、そこに居ることが誇りになる場所、そこに居ることで笑顔になれる場所を作りたい」との思いを、5枚のぱらぱらとした屋根や近隣に圧迫感を与えないよう配慮したモダンな印象の外観で表現。米ケ崎町の畑や水田で囲われた豊かな周辺環境を眺められるように開口部が設計され、自由に動き回ることが難しい子どもでも、室内にいても緑に恵まれた環境や四季を感じられる建物となっている。

 また、出入り口も予防接種や定期健診などで来院する子、病気で来院する子、障がいのある子のための3カ所を設けている。小林さんは「2階ホールに余白を設けることで『休憩スペース』『子育て交流スペース』として活用するなど、家族へのサポートもできるようになっています。自然豊かな景観も楽しめます」と説明する。高橋さんは「お母さんたちが少しでもリラックスできる場所が船橋にできれば、船橋が優しい街になるでしょう」とほほ笑む。

 同医院は7月オープン予定。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 一級建築士小林千尋さん

  • 塚田駅から徒歩5分の場所にある「京葉エステート」

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