2021年04月03日 配信

船芳園での花粉交配作業

4/3(土)市内梨農園で花粉の交配シーズン最盛期に

親族や地域住民も手伝って

 全国でも梨の生産量1位(農林水産省「作物統計」平成30年データ)を誇る千葉県。船橋市内にも100軒を超える梨農家が毎年梨を生産している。今年は3月末から4月頭にかけて梨の花が満開となり、各農家では花粉交配作業のピークを迎えている。

 船橋市内でも観光梨園として発展してきた二和・三咲地区の梨農家では、毎年、桜の見ごろが終わる時期に梨の花が満開を迎え、手作業での花粉交配作業のピークを迎える。

 「梨の受粉は、同じ品種の花粉をつけてもダメ。違う品種の花粉を付ける必要がある。例えば幸水の花には、新高か豊水の花粉をつける。だから手作業が確実なんだ」と船芳園の2代目園主で、40年以上梨の生育を続けている加納一男さんは話す。船橋など都市型の農地では、鳥や虫よけネットを張っている農園もあることから交配の役目を果たす虫もほとんどいないため、手作業で交配していくしかないのだともいう。

 「雌しべの状態は午前中のほうがいい。だから、満開を迎えて晴れた日の午前中に短い時間で一斉に交配作業をしなくてはいけない。そのため人手が必要で、親族だけでなく、隣りの店のパートさんたちもこの時期だけ手伝ってもらっている」と同園3代目園主の加納芳光さん。

 「この時期には、花粉を摂取する作業も夜間に行うから忙しい」とも芳光さん。「交配作業は農園の中でひっそりとやっているので意外と知られていないが、実らせるためにも一番大切な作業。私の妻のママ友など、多くの地域の方の支えを借り、こうして10年以上手伝ってくださる皆さんの存在がありがたいです」とも続けた。

 交配を手伝っていた女性は「花粉はどの花にも付けるのではなく、選んで付けるんですよ。1番目と2番目に出た花には花粉をつけないの。向きも重要ね」と花粉を付ける際のポイントを話した。「毎年、桜の花見シーズンになると梨の満開がそろそろねと、私たちもソワソワします」とほほ笑む。

 また、「船芳園」と同じ通りにある「芳蔵園」では、交配作業を手伝う学生の姿も見られた。園主・加納慶太さんによると「私たちのエプロンやシャツを作ってもらっているお店の店主の息子さんと、妻が各所でフルーツサンドを販売しているのを見て、私たちの農作業に興味を持ってくれた学生さんが手伝いに来てくれた」という。今年初めて交配作業を手伝ったという女子学生は「やってみたら肩から首のあたりが痛くなった。筋肉痛かも」と話しながらも交配作業を続けていた。

 船芳園の加納芳光さんは「今年の開花は例年より1週間くらい早い。梅雨の時期や7月の天候にもよるけれど、開花が早いということは梨の収穫についてもいつもより少し早くなる可能性はある」と話した。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 隣接する「紅和園」のパートスタッフも船芳園で交配作業を手伝う

  • ピンクに色がついた花粉を雌しべに付けて交配する

  • 「芳蔵園」での作業風景

この記事を書いた人

yumiko_mikami

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MyFuna編集長のミカミです。子育て中の主婦ですが、MyFunaを通し、自分が住む街を知ることの大切さに気づかせてもらっています。
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