3/3(水)仕出し会席料理の会社が社屋スペースでうどん屋オープン
「子ども食堂のような存在に」
市内で創業し33年、通夜や告別式などで仕出し料理を振舞ってきた「一会(いちえ)」(船橋市北本町2-63-7、TEL 047-422-6898)が3月1日、社屋の一部スペースを利用してうどんをメインに提供する「一会食堂」をオープンした。
同社の創業は1987(昭和62)年7月。創業当時は船橋駅北口の近くで開業。葬儀屋と連携し、通夜で振舞う料理や告別式での精進落としなどの料理を作り、会場まで配達、配膳するというサービスを始めた。「当時そんなことを始めたのは、うち以外にはいなかったんじゃないかな」と同社代表取締役の窪田雄二さん。1996年に北本町の現在の場所に移転し、厨房に加え、法要などができる会館を併設した社屋を建て、業績は順調に伸びていった。
代表の窪田さんはライオンズクラブにも所属し、さまざまな地域活動にも貢献してきた人物。そのなかで「10年ほど前から、いつか『子ども食堂』のようなことをやってみたいという夢があったんだよね」とほほ笑む窪田さん。
しかしこのコロナ禍で厳しい現実に立たされていることも打ち明ける。「今、告別式はこれまでにあったような人が集まるスタイルと大きく異なり、家族葬が主流になった。うちみたいに精進料理や通夜振る舞いを1度に何十人分と用意してきた業者としては、もう困ったもんだよ。売り上げはコロナ前に比べて半分だね」と打ち明ける。
「先に話したように、子ども食堂もやってみたかったし、『八丁味噌』を使った料理を多くの人に食べてもらいたいという思いもあった。八丁味噌が好きだった私の母親は今、101歳で元気なんですよ。きっと八丁味噌のおかげだと思う。だから、うどん屋をやって、体にいい八丁味噌を食べてもらうのと、子連れの方たちには子ども食堂みたいに使ってもらえたらと思ってね。それで会社の売り上げも増やし、がんばってくれている社員たちの仕事も創出しなきゃ」と窪田さん。同社は社員のほかに、配膳スタッフと厨房スタッフで約30人のパートスタッフを抱えているという。
飲食店とした場所は、元々は法要などの式典会場として使用されていた約14坪のスペース。設置していた祭壇は別の場所に移動させ、テーブルクロスや1人ずつパーティションで囲われた客席を12席設置。営業時間は11時~14時の3時間だけと限定し、通常業務も稼働させながら食堂を営業する。
現在、メニューは愛知県で愛用されている「八丁味噌」を使った「味噌煮込みうどん」に加え、「鍋焼きうどん」の2種類。そのほか天丼を用意する。価格はいずれも1000円。「どの商品でも1000円。お釣りの用意が大変でしょ」と窪田さん。ドリンクメニューやアルコールメニューは用意せず、店内BGMもなく、シンプルに料理を味わえるスタイルを取っている。
配膳スタッフとして勤務する女性スタッフは「お客さんがお店の中で注文してサービスするっていうのはここでは初めて。うどんの鉄鍋の扱い方が難しくて、練習しました」と話す。
窪田さんは「小学生までの子どもを連れている方は、子どもの分は無料にします。子ども用メニューはないけれど、大人と同じものを出しますよ。これが私の『子ども食堂』だよ」と笑う。同社でパート勤務して15年になるという林さんは「私と窪田さんはライオンズクラブで知り合った仲なんです。当時、私が馬込沢でお店を経営していて、私もライオンズクラブに所属していて。私が自分のお店を閉めたときに窪田さんが声を掛けてくださり、それで今も働かせてもらっているんです。今、会社にとっては苦しい時期なのに、子どもは無料っていうのが社長らしいわよね。すごいことだと思います。地域のみなさんに知ってもらって、輪が広がっていくといいなと思っています」とも続けた。
オープンに先駆け2月28日に行われた試食会では「八丁味噌って初めて食べたわ」「うどんにコシがあっておいしい」「野菜もたくさんでおなかいっぱいになった」といった声が聞かれた。メニューは徐々に増やしていく予定だともいう。
営業時間は11時~14時。年中無休。
※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください
Sponsored by MyFunaサポーター