2020年12月09日 配信

船橋市民ギャラリー入り口

12/8(火)市民ギャラリー全館を使い「椿貞雄と清川コレクション」

約250点を展示し展覧会図録も完成

 「椿貞雄と清川コレクション」が12月2日、「船橋市民ギャラリー」(船橋市本町2-1-1 船橋スクエア21ビル3階、TEL 047-420-2111)で始まり、椿貞雄の絵画と彼を支えた清川家旧蔵の美術品など約250点が展示されている。

 入り口を入ると目に飛び込んでくるのが、椿貞雄の自画像。左手に展開されているのが椿貞雄の絵画、右手に進むと広がるのが清川コレクション。

 椿貞雄は、出身は山形県米沢市になるが、大正末から昭和にかけて船橋市で暮らし、1926(大正15)年には船橋尋常高等小学校(現・市立船橋小学校)の図画教員として働き、船橋に居住している。その後、椿は61歳で没するまで約30年船橋で暮らした。

 一方、清川家は初代の清川務が1887(明治20)年に船橋で病院を開業、2代目の清川弘道が芸術文化に造詣が深く、千葉県ゆかりの芸術家の作品を収集。3代目の清川尚道は学生時代に椿貞雄に師事、生涯にわたり椿貞雄の弟子で支援者であったという。清川家は3代にわたって収集した美術品184点を船橋市に寄贈、「清川コレクション」として収蔵されている。

 学芸員の山本雅美さんは「これまでも作品展を開催してきましたが、今回船橋市が『清川コレクション』を収蔵してから20年になります。その節目を迎えたことを記念して、この船橋市民ギャラリー全エリアを使って250点もの美術品を展示しています」と話す。

 船橋市は、図書館・郷土資料館・文化課が所蔵している絵図や古文書などの貴重資料をデジタル化して公開している「船橋市デジタルミュージアム」を、令和2年4月15日からリニューアルしている。

 山本さんは「船橋市にはデジタルミュージアムがありますが、やはり本物を見てもらう機会を作る必要もあると思います。市民の所蔵品なので、ぜひ多くの市民の方に船橋市にゆかりのある椿貞雄という画家がいることを知っていただき、その作品を目にしていただければと思います」と、強い想いを話す。

 新型コロナウイルス感染拡大前から企画していたという同展示会は、当初、船橋小学校と連携した企画などもあったというが断念した。しかし、「緊急事態宣言中、椿貞雄と清川コレクションをまとめる時間がたっぷりとれ、一冊の本にもできました」と山本さん。「船橋の美術に関する歴史をまとめた初めての本です」とも。展覧会図録『椿貞雄と清川コレクション』(2,000円)は展示会場でも販売しているが、船橋市役所文化課でも購入ができるという。

 関連イベントとして12月12日、美術フォーラム「ミュージアムを楽しむ―人と地域をつなぐメディア」を開催。ミュージアムにおける生涯学習支援や鑑賞教育に関する専門家杉浦幸子(武蔵野美術大学芸術文化学科教授)などの講演になる。地域において人々がミュージアムを楽しむ方法がテーマ。14時~16時。

 12月11日、18日は学芸員益子実華による展覧会の見どころをスライドでレクチャーする「スライド・レクチャー」を開催する。14時~15時。

 展示会は12月23日まで。開館時間は10時~17時(金曜日は19時まで)。会期中無休。入場無料。関連イベントも全て参加無料、関連イベントは要事前申し込み(定員20人、先着順)。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 椿貞雄の個展スペース

  • 清川コレクションスペース

  • 学芸員の山本雅美さん

  • 会場で展覧会図録『椿貞雄と清川コレクション』やポストカードが購入できる

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