2020年11月27日 配信

負傷の度合いに応じた判断を行うスタッフたち

11/27(金)東船橋病院のスタッフが「病院前トリアージ」研修

有事に備え市内医療機関が順番に研修を

 船橋市が主催する「病院前トリアージ」の研修会がプレーゲ船橋(船橋市金堀町195)の会議室で東船橋病院スタッフを対象に11月14日、公益社団法人船橋地域福祉介護医療推進機構の主導のもと行われた。

 「トリアージ」とは、災害や大事故などで同時に多数の患者が発生した時、手当の緊急度によって優先順位をつける事。近年になって各地で起きている大災害や大事故などの経験を踏まえ船橋市でも予算化。特に、大量の負傷者などが病院に殺到した際「病院の診療機能がパンクするのを防ぐため」病院前で事前に判断し、限られた医療資源を効率的に使用する目的で行うものを「病院前トリアージ」と呼ぶ。

 市の方針に従い、医師や看護師、福祉関係者らで組織されている公益社団法人船橋地域福祉介護医療推進機構が現場での研修を受託しカリキュラムを遂行した。

 この日の講師は、船橋市立医療センターの救命救急センター所属・水嶋知也さん。水嶋さんによると、「通常時の医療は診療能力資源が傷病者数を上回るようになっており、余力を持って提供している」という。

 しかし、「災害時には傷病者数が一気に増え、一時的に診療能力資源を上回ってしまう場合がある」と話す。さらに、災害時によっては、東日本大震災のように広範囲が被災する事で「医療従事者自身が被害者になるパターン」もあり、病院や医療機関に駆け付けることができないなどの事態も想定される。

 その為、「医師・看護師だけでなく病院スタッフらも同レベルでトリアージを行えるようになっていることが必要」として市内医療機関が順番にトリアージ研修を行うようになっている。

 この日は、前半に座学で病院前トリアージに関する座学を実施。後半は実際に現場で使用するタグ(札)を模した研修用のもので実技を体験。1件当たりの制限時間を決め、ルールに沿って迅速に判断をし、看護師や医師などに引き継いでいくという流れを何度も繰り返した。

 船橋市内では、今年4月から災害などの有事に際しての対策が一部変更になったこともあり病院前トリアージの必要性が増しているという。

 これまでは、各小中学校に近隣から担当の医師が駆け付け、負傷者などを診る方針だったものが、「開業医や看護師が実際にクリニックや病院の近くに住んでいるわけではない事」などを理由に、最寄りの病院で負傷者や患者を診る方針に変わったのだという。

 これにより、病院前で「負傷などの度合いによって患者の優先順位を決める」事(病院前トリアージ)で、病院内の医療資源を有効に活用し、助けることのできる命を一つでも増やそうという試みだ。

 「最終的には市民の一人一人が有事に自分のトリアージを行えるようになり、意識の有無や怪我の度合いで治療の優先順位を判断できるようになる事でパニックを避けられるところまで持っていけるのが理想」と同機構理事の医師。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

この記事を書いた人

山﨑健太朗

山﨑健太朗

船橋のタウン誌MyFuna、ネットニュースMyFunaねっと、船橋経済新聞を立上げ、現在は千葉県内全域のローカルニュース編集者と連携する「ちばごと」編集部を立ち上げています。主婦と高齢者をライターに育成し地域から日本を元気にする仕組み作りを目指しています。
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