2020年01月27日 配信

腎臓について

1/27(月)板倉病院で慢性腎臓病(CKD)について市民公開講座

リン摂取量の適正化がカギ

 板倉病院(梶原崇弘院長=船橋市本町2-10-1)6階 コンファレンスホールで1月25日、船橋市内を中心に福祉・介護・医療の連携サービスの実現を目指して活動している船橋地域福祉・介護・医療推進機構が主催する市民公開講座「腎臓病について」が行われた。

 講師は板倉病院サテライトクリニック(本町7-1-1)名誉院長の佐中孜さん。「誰だかわかりますか?」の質問から始まったスクリーンに映し出されたのはモーツアルト。モーツアルトの音楽も流れ、優雅にスタート。モーツアルトは腎臓病、中でも急性糸球体腎炎だったことがわかっているという。

 佐中さんによる慢性腎臓病(CKD)に関する講座は今回で4回目。これまで適切な食生活や日頃の生活習慣が大事であることの話はしてきたので、今回は「CKD悪化阻止にはリンの摂取量の適正化が重要である」との観点から、「リン」について、また「長生き遺伝子」について話をすると予告。

 CKDは糖尿病などの生活習慣病、心血管病などが要因になるが、末期になるまで無症状、最終的には透析療法が必要な状態になってしまうという。佐中先生は「そうならないためには、自分の腎臓は自分で守ろうよ、ということなんです」と話す。

 腎臓は背中肋骨の下から腰にかけてあり、さらに腎臓には腎臓の中の心臓というべき約100万個ある「糸球体」が血液をろ過、それが尿細管につながり、尿細管はろ過された尿を流すだけではなく、必要なものは再吸収する。

 その糸球体腎機能をみるための指標が「eGFR」、尿細管が「クレアチニンクリアランス」。腎臓の機能はこれら両方で評価するという。特に「eGFR」が重要で、60ml/分未満はCKDだという。そして糸球体は再生しないが、尿細管は再生するので、透析にならないようにするために再生する尿細管は重要になるとも。

 「健康寿命のカギは腎臓にある」という本題に入り、「腎臓があなたの寿命を決める、健康寿命の鍵は腎臓にあり」と言っても過言ではないと話す。

 体液を清浄化(老廃物を捨てる)、体液の量を一定にするという環境の維持、それが腎臓の働き。血圧の維持や赤血球成のホルモン分泌もし、カルシウムやマグネシウム、カリウム、リン、尿酸などの正常値を調整しているので、腎臓が悪くなることは寿命に関わるという。

 中でもリンに注目。リンは、細胞の増殖や成長に大事な要素だが、高濃度になると生命を脅かす。そしてそのコントロールには「クロソー(Klotho)遺伝子」が関わるという。クロソー遺伝子とは自治医大分子病態治療研究センター抗加齢医学研究部教授の黒尾誠さんが発見したもので、これを欠損したマウスは短命となり、この遺伝子は抗老化遺伝子として注目されていると紹介。先に示した長生き遺伝子だという。

 佐中さんは「リンの食べ過ぎには注意。食品添加物には注意です。たんぱく質についているので、たんぱく制限がリンの制限につながる」と講座を締めくくった。

 講座が終わると、管理栄養士による減塩メニューのレシピ公開&試食会が行われ、その後恒例の福祉・介護・医療の相談会も行われた。

 ヘルパーとして働いている習志野台から来たという女性は、「勉強をしに来ましたが、リンが重要だということを初めて知りました。高齢者と接することが多いので、食事を作る際には気を付けようと思います」と感想を話した。腎臓を患った親類がいるので関心を持ってきたという中山競馬場近くに住む男性は、「チラシを見て今回のことを知りました。リンの話は今まで知らなかったことなので大変役立ちますね。また、今回板倉病院を知ることができたのでよかった。今後も公民館よりもぜひ病院でやってもらえたら」と話し、病院を後にした。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 講演会の様子

  • 高リン食を続けると・・・

  • 減塩メニューのレシピ公開&試食会

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