2019年12月01日 配信

ピアノ演奏をする谷川賢作さんと指揮者は井辻紀一さん

12/1(日)船橋市合唱連盟が「船橋市合唱祭」で新愛唱歌を完成披露

「広く市民に浸透する歌になるように」

 船橋市合唱連盟が谷川賢作さん作曲・覚和歌子さん作詞の新愛唱歌「星を集めて」の完成披露を12月1日、船橋市民文化ホール(船橋市本町2-2-5)で「第65回船橋市合唱祭」の演目の一つとして行った。

 同連盟は1955(昭和30)年に設立し、現在は市内を中心に活動するアマチュア合唱団47団体が加盟している。2014(平成26)年の設立60周年では記念合唱祭や記念誌を制作し、その一環で、今回、設立以来初めてとなる愛唱歌制作に着手した。

 「愛唱歌準備チームメンバー」として理事長の大西知弘さん、副理事長の村上忠彦さん、主事の斉藤ゆき子さんに加え、団員2人が、どのような形で進めていくか話し合ったという。

 大西さんからのあいさつでは「どんなふうに進めたらいいのか話し合い、船橋愛がある人にお願いしたいという気持ちが強くなり、船橋市文化芸術ホール芸術アドバイザーを務め、作曲家・ピアニストの谷川賢作さんに作曲を委嘱することが決定。歌詞は、谷川さんからの紹介を受け、詩人で作詞家であり、音楽家の覚和歌子さんに制作を委嘱した」と経緯の説明があった。

 谷川賢作さんは作曲家でピアニスト。父である詩人の谷川俊太郎と共に、朗読と音楽のコンサートを全国各地で開催し、日本アカデミー賞優秀音楽賞も複数回受賞している。「音楽のまち・ふなばし 千人の音楽祭」での親子共演や市民合唱団との共演経験もある。

 覚和歌子さんはアニメ映画「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」でレコード大賞金賞を受賞し、小泉今日子や平原綾香など多くの歌手の作詞から、校歌、合唱組曲などの作詞を手掛ける音楽家。

 同合唱祭では午前の部・午後の部の各1回ずつ、各加盟合唱団の有志82人で編成された特別合唱団「集められた星たち」によって初演披露、会場全員による全体合唱が行われた。

 松戸徹市長は「市内の子どもたちが歌えるようにしたい」と話し、歌詞の一節を引用し、「『ひとりでは叶わない』ものも、みんなで取り組めば叶うという部分は街も一緒だと思う」とあいさつがあった。

 午前の部では谷川さんが登壇、全体合唱ではピアニストも務めた。そして午後の部では小・中学・高校と合唱部だったという覚さんが登壇し、全体合唱でソプラノのパートに参加した。

 覚さんは、曲作りの話し合いである提案をした時、70歳ほどの男性が「ワクワクしてきました」と目を輝かせていたのが忘れられないという。「曲の核になるエッセンスのエネルギーをもらったという感じですね」と話す。「付き合いの長い賢作さんと組んで、化学反応を起こして、どんなエバーグリーンな1曲になるかなと楽しく想像させてもらいながら作った曲です」とも。

 「船橋という地域の特色を詩的な言葉としてどう歌うかは外せないが、頭で考えると詩より散文になってしまう。行間を埋めるのは連盟のみなさんの心のエネルギーだった」と覚さんは振り返る。「平易な言葉だけれど年齢を重ねるにしたがって別の味わいが出てくるという意味の重層性をいかに展開するか、それがどんなに大切なのか、敬愛する谷川俊太郎さんから教わり心がけている」とも話した。

 一方、谷川さんも、作曲に対しては、船橋の風光明媚な風景や特産などの食べ物などではなく、「今まで積み上げてきたご縁、人とのつながりを意識して作品作りをしました」と話す。歌を今日初めて聴いて、「おひとりおひとりのモチベーションの高さに驚きました。船橋、さすがだなと思いましたね」とも。

 愛唱歌の全体合唱は、来年以降の合唱祭でも実施していく予定。斉藤さんは、「指揮者の井辻紀一さんが3日間の指導で伝えていたのは、歌い手が心を持って歌えるようにとのことでした。指揮者が教えるのではなく、こんな風に歌いたいんだという思いを心に描いて歌うことが大切なんだと言っていました」と話す。「船橋で生まれたこの歌が、船橋にとどまることなく、合唱や音楽を愛好する多くの人たちに愛され永く歌い継がれていくことが同連盟としての願い」とも。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

  • 左から谷川賢作さん、覚和歌子さん

  • 左から村上忠彦さん、斉藤ゆき子さん、大西知弘さん、谷川賢作さん

  • 配られたプログラムに掲載されている楽譜と歌詞

  • 全体合唱の様子

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