2019年03月27日 配信

3/27(水)板倉病院で病院職員・市職員対象に「病院前トリアージ」
有事の際、医療のリソースを有効活用する為に

 船橋市内で初開催となる「病院前トリアージ」の研修会が板倉病院(船橋市本町2-10-1、TEL047-431-2662)6階の研修室で同病院職員と船橋市役所職員を対象に公益社団法人船橋地域福祉介護医療推進機構の主催のもと行われた。

 「トリアージ」とは、災害や大事故などで同時に多数の患者が発生した時、手当の緊急度によって優先順位をつける事。近年になって各地で起きている大災害や大事故などの経験を踏まえ大量の患者が病院に殺到した際「病院の診療機能がパンクするのを防ぐため」必要性が話題に上がることの多くなっているものを「病院前トリアージ」と呼ぶ。

 この日の講師は、船橋市立医療センターの救命救急センター所属・水嶋知也さん。水嶋さんによると、「通常時の医療は診療能力資源が傷病者数を上回るようになっており、余力を持って提供している」という。

 しかし、「災害時には傷病者数が一気に増え、一時的に診療能力資源を上回ってしまう場合がある」と話す。さらに、災害時によっては、東日本大震災のように広範囲が被災する事で「医療従事者自身が被害者になるパターン」もあり、病院や医療機関に駆け付けることができないなどの事態も想定されるのだという。

 そうした時に、近隣のクリニックから医療従事者が応援に駆け付けることで病院の診療能力資源を補充する事が想定されているという。

 水嶋さんは、1972(昭和47)年3月28日に国鉄総武線船橋駅で7時21分ごろに起きた負傷者数国内最大の事故「船橋事故」を例に挙げ、限られた資源を有効かつ無駄なく活用し、最大多数の傷病者に最善を尽くすという「トリアージ」の大切さを説明した。

 同会場の医療従事者や市職員たちも「船橋事故」については初耳だった様子で、会場からは「えぇっ」「おぉっ」と無意識に感嘆の声が上がった。「負傷者数758人を記録したこの事故では、実際に船橋駅南口にある唯一の同病院に多くの患者が担ぎ込まれた事は想像に難くない」と水嶋さん。国内最大の負傷者を記録した事故が同病院のお膝元で起きたという事実が一瞬でトリアージの大切さを実感させた。

 研修の中で、トリアージの原則として、

1.傷病者全員に行う
2.2人以上の組で行う(1人がトリアージ、他はタグの記載)
3.1人あたりのトリアージに要する時間は30秒以内(タグ記載を含めて2分)
4.傷病者にトリアージタグを付け優先度を明確にする
5.治療を受けるまで繰り返し行う
6.トリアージ担当は処置を行ってはならない(例外:気道確保、圧迫止血…すぐ処置班に引き継ぐ)
7.トリアージの決定に全員が従う

 という7項目を紹介。これによって、生理的異常(A・B・C)による緊急度の見極め、所見による重症度の見極め、生命兆候の確認を通じて重症度合いによる4段階を決定するのだという。

 STRAT式(Simple Triage and Rapid Treatment)に基づいて、自力歩行可能かどうか、呼吸があるか、橈骨(とうこつ)動脈を触知できるか意識があるかによって、主観を交えず、特別な器具がなくても医療従事者であれば誰でもでき、トリアージの結果に個人差がない方法をとる。

 重症度合いが高いものから順に、「死亡・救命不能」「緊急」「準緊急」「猶予」を決定。「緊急」患者から処置を行い「準緊急」を次に処置していくのだという。

 実際の有事には、病院前にその日の当直医師や看護師らでテントを張り、トリアージを続けながら処置を行っていくのだという。

 この日は水嶋さんの講演後に実際にトリアージ演習を行い、タグに記載するという流れを繰り返し練習。繰り返しの練習によって熟練度を上げていく事を目的としている。「医療センターではトリアージの研修を月2回行っている」と水嶋さん。主催の推進機構担当者は「今後、市内の病院を中心にクリニックや福祉施設などで病院前トリアージ講習を普及させていく」と話す。

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