2017年03月31日 配信

3/31(金)芝山団地商店会のパン屋「アーノロドフジタカムラ」が閉店
世代交代で「DJパン屋」としてリニューアル

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 芝山団地商店会で昔ながらのパン屋を営む「アーノルドフジタカムラ」(船橋市芝山3-10 TEL047-464-6974)が3月31日、40年に渡った営業に終止符を打った。

 同店は、1977年3月31日に開店。高村耕三さん(66)が商店街の繁栄と共に営業を続けてきたが、40年目の節目となるこの日で耕三さんが引退。息子で同商店会で会長を務める高村清太郎さん(36)が正式に店を継ぐことを発表した。

 世代交代のタイミングで一時閉店し、4月22日にリニューアルオープンする。4月1日から店内の備品などを運びだし、翌日から内装工事などを開始する。「たくさんの仲間に手伝ってもらって、みんなを巻き込みながら内装工事をしようと思います」と清太郎さん。

 清太郎さんは、同商店会とともに芝山で育ってきた地元っ子。子どもの頃ににぎやかだった商店街を再び取り戻そうと2010年に商店会長に就任した。就任当初は、商店会長の仕事もままならず、古株とは意見がぶつかり、家主のURとも意見が衝突する日々が続いた。

 先輩経営者の助けもあって周囲と粘り強く交渉し、地元の子ども達やボランティアに参加してもらう事で商店街の魅力を高め、全国各地の商店街で成功している「100円商店街」「選挙割」「人生ゲーム」などの企画を視察し、積極的に商店街に取り入れ、時間をかけて徐々に人が集まる商店街を作り上げてきた。

 清太郎さんが商店会長に就任してからの7年間には、商店街に併設されていた生鮮販売のスーパー「芝山ショッピングプラザ」の閉鎖、それに伴った駅前への大手スーパー出店による商店街存亡の危機や、清太郎さんを導いてきた先輩であり親友でもあった経営者との死別などつらい経験もした。

 そうした中で自分の将来を考え、足元を見つめ、清太郎さんは家業を継ぐことを決めた。普段は明るい表情で周囲を盛り上げ滅多に弱気な様子を見せない清太郎さんの当時のSNSには、家業を継ぐことを周囲に告知するギリギリまで真剣に考え、気持ちが揺れ動いている様子が克明に記されている。

 イベントに参加し、一緒に作り上げてきた仲間たちが励まし、勇気づけながら迎えた40年の営業最終日。清太郎さんの新しい門出を祝う仲間たちで店は昔の輝きを取り戻した。あいにくの雨、肌寒い気候にもかかわらず夕方を待たず店内の商品は完売した。それでも清太郎さんを応援しようと、多くの仲間たちが来店した。

 閉店間際にやってきた不良風のルックスがトレードマークの仲間が清太郎さんの門出を祝うとともに、サプライズで耕三さんの40年間に対する感謝状を持参した。両親の頑張り抜いてきた40年間を祝福してくれた仲間のあたたかさに清太郎さんは「あふれ出てくる涙を我慢することが出来なかった」と自らのSNS上で告白している。

 団地に併設された商店街は、団地住民の高齢化と大型スーパーの出店などで船橋市内のいずれも苦戦を強いられている。シャッター通りになる商店街が増える中、人の集まる場所として「商店街が存在する価値」の再定義が地域再生の大きな課題になっている。若手が経営を引き継ぎ、家業を成長させようという個人商店は減っているのかも知れない。

 しかし、MyFuna編集部は10年の取材を通じて個人商店が創意工夫で事業継承を成功させた事例をいくつも見てきた。一時、人が少なくなった芝山団地商店会にアイディアと行動であふれんばかりの人が集まり、笑顔の花を咲かせた様子は船橋のとてつもない底力を感じざるをえない。

 同店は、22日のリニューアル以降「DJパン屋」という新しい境地で繁盛店を目指すそうだ。

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※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

この記事を書いた人

山﨑健太朗

山﨑健太朗

船橋のタウン誌MyFuna、ネットニュースMyFunaねっと、船橋経済新聞を立上げ、現在は千葉県内全域のローカルニュース編集者と連携する「ちばごと」編集部を立ち上げています。主婦と高齢者をライターに育成し地域から日本を元気にする仕組み作りを目指しています。
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