2017年10月12日 配信

10/12(木)奈良養鶏園が個人農家として日本初
「農場HACCP」を認証、より安心・安全な卵を

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 船橋市の老舗養鶏園の「奈良養鶏園」(船橋市馬込町1161)が、継続的で厳しい衛生管理が求められる「農場HACCP」に今年の8月に認証された。

 日本では2012年に「農場HACCP」認証が始まったが、「奈良養鶏園」は「皆川牧場」(船橋市鈴身町84-2)に次いで船橋市内で2件目の認証。千葉県の養鶏園(採卵)では「パートナーズ木更津農場」(木更津市下郡2071)についで2件目。個人経営の農家としては日本初の認証となる。 

 同園は船橋市で70年余り養鶏園を営み、現在7つの鶏舎で赤玉を産む「ボリスブラウン」と、国産鶏の「もみじ」を約3,000羽ずつ、チリ原産で青い卵を産む「アロウカナ」を約1,000羽、合計約7,000羽を飼育。「農場HACCP」認証の前から、厳選した飼料を使用し、環境を整えた鶏舎で新鮮で安全な鶏卵を生産している。長年の固定客が多く、食材にこだわる飲食店など食品関係業者からも高い信頼を得ている。 

 HACCPとはHazard Analysis and Critical Control Pointの略で「危害分析重要管理点」と訳され、通称ハサップと呼ばれている。HACCPは米国で1960年代に始まり、食品の原材料生産、加工、流通、販売、消費に至るまでのすべての過程について、工程ごとにHA(危害分析)を行い、危害を防止するCCP(重要管理点)を定め、CCPの管理基準を継続監視することにより、危害の発生を未然に防ぐものである。 

 現在では米国、カナダ、オーストラリアやEU諸国においては食品の一部にHACCPが義務化されており、国連と世界保健機構がその採用を推奨し、世界的な広がりを見せている。 

 園長の奈良五十八さんは「農場HACCPの認証をいただき、今はほっとしている。HACCP認証の手続きは、ほとんどの場合は大手が社内の専門のチームで取り組んでいるが、うちは家族と従業員10人が交替で日常の作業を行いながらなので、膨大な書類をそろえるだけでも大変だった」と話す。また、「農場HACCP認証について食品関係者からはお褒めの言葉をいただいたが、一般にはまだまだ認知されていない」と話した。 

 息子の奈良富士男さんは「今までは養鶏園の敷地内の出入りに制限がなかったが、農場HACCPでは鶏舎とその周りは衛生管理区域として指定し、鶏舎への出入りの度に専用の長靴を履き、長着を着用して、指定の消毒液で洗浄。手洗いも専用の洗浄剤で出入りの度に行わなければならない。また作業内容、時間など全て細かく記録しなければならない。雛鳥、飼料などは公的機関が品質を認めたものだけを仕入れるなど、今まで以上に衛生管理に気を使っている」とも。また「大変さはあるが、従業員全員が同じ認識を持たなければいけないので、連絡を密にとるようになり、内部コミュニケーションが更に良くなった」と笑顔。 

 農場HACCPは一度認証されたら、それで終わりではない。農場側が常に「危害分析」を行い、それを「実施」し、「検証」、「改善」を繰り返して、より良い食の安全性と生産性の向上をめざすものである。富士男さんの妻の育子さんは「日々、細かく記録をとるのは大変だが何かあった時に原因を突き止めやすくなった。農場HACCPの作業の1つ1つは地道だが、その積み重ねで高い満足度のある安心・安全な卵を提供できる。お客様の信頼をなくさないように、これからも精進していきたい」と話した。

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奈良夫妻 鶏舎の出入りの度に手を洗浄
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鶏舎入口で履き替えた長靴を消毒 衛生管理区域
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衛生管理区域 鶏舎入口
   
   

 

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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