2018年11月03日 配信
依頼者の想いをくみ取って一つひとつの文字を書く
   
  書道教室で筆を取る矢野さん    蝶をイメージした作品

 

 大阪で生まれ、物心がつく頃には船橋市で暮らす。矢野さんは「いっそ船橋市出身と言いたいです」と笑顔で幼少期を振り返った。
 4歳で書道に出会い、毎年手書きの年賀状を送っていたという。22歳で「日本教育書道芸術院師範免許」を獲得し、その後20年間ほど家業のお好み焼き屋「矢野屋」を営む。3年前に店を閉めてから書道に本格的に打ち込んでいるが、常に書道に対する思いは深く「休みの少ない飲食業、震災や父の介護、私自身の病気という辛いと思うことが多々ありましたが、書道はいつも私の心の支えでした」と話す。
 地元との交流を大切にしている矢野さん。八坂神社の御朱印や、船橋市の外国人向けパンフレットの題字「船橋」の文字は矢野さんの作品の一つ。「自己アピールが苦手で内気な性格ですが、地元の人の口コミが広がってここまで活動できています。今でも声をかけてくださる人へ、本当に喜んでもらえる作品を作っていきたいです」と矢野さん。地元から更に活動を広げていきたいという。
 市外にも活動範囲を広げ、東日本大震災の後、岩手県の大船渡温泉の看板文字の依頼を受けた。「ここを復興のシンボルにしたい。海と共に生きてきたというイメージを出してほしい」という強い思いを文字にしたという。「自分と相手の気持ちが一致した時に作品として完成する。相手の思いをくみ取って文字にするために依頼者の話をよく聞き、文字のコンセプトや依頼者の人柄を知ることを大切にしていきたい」
と矢野さん。これからボスニアでの書道パフォーマンスも控え、日本のみならず世界へ書道の魅力を広げていく。

【プロフィール】
1998年 東京書作品展 入賞
2010年 東武百貨店船橋店R14フェスタ:café de’IDOL展示
2014年 岩手県「大船渡温泉」の看板文字を作成 
2016年 260年の歴史 山形県「新庄まつり」ロゴデザインを作成 世界文化遺産ユネスコ登録

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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