2012年07月01日 配信

昨年から小学5~6年生の英語教育が必須に
船橋市ではすでに1年生から英語教育を開始

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平成23年度から全国的に小学5・6年生の外国語教育が必修化になった。毎週1コマ、年間で35コマの授業が教育課程に盛り込まれるようになったという。目指すのは、「英語の習得」ではなく「積極的なコミュニケーション能力を身に付けること」や「英語に慣れ親しむ事」、「外国の文化を学ぶ事」。
しかし、これまで経験したことの無い「英語教育の必修化」という事件は、小学校教育の現場で大きな混乱を生んだのだ。
一方船橋市では、平成18年から市内54の小学校全てが「小学校の低・中学年における英語教育に関する教育課程特例校」の指定を受け全国に先駆けて英語教育に特化したカリキュラムを組みこれを実践してきた。全国の教育現場の問題と船橋市の英語教育について調べてみた。

英語を指導する教員の不足

平成23年度から小学5・6年生に必須となった英語教育。もっとも混乱を招いているのは、指導教員と教育カリキュラムの不足だという。
小学校教員には英語の専門はない。その為、英語を教える事の出来る人材の確保が非常に困難になっているというのだ。父兄からは「英語教育をするのであれば外国人の教員を」との希望が少なくない。
ある地域では、民間企業に「業務委託」という形で「英語」の授業を任せているが、この場合学校側は「偽装請負」に抵触してしまうため授業内容に口出しをする事が出来ず、担当教員とのすり合わせに苦労しているという。また、「派遣」という形で英語教育の授業を受け持たせていた地域では、担当の外国人指導助手がたびたび変更になり、そのたびに欠席が続き単位が不足しそうになるという例も。
人材確保に悩みながら外国人を直接雇用している例や、既存の教員を再教育して英語教育に対応している例など外国語指導助手(ALT)の確保に関しては地域によって様々だ。

1年生から英語教育を開始

船橋市では、「楽しみながら英語に慣れ親しむ」、「積極的なコミュニケーションをとろうとする態度」をもたせる事をテーマに従来型の詰め込み方の教育ではなく、英語を好きになり自発的に学んでゆこうとする姿勢を築くことに注力してきた。
もともと英語教育に熱心な教員がALT(外国語指導助手)の配属を希望し昭和60年代頃から少しずつ授業にALTが参加してきていたものが、平成18年には市内全54小学校で「低学年の英語教育課程特例校」の指定を受け、小学校1年生から週0.5コマ・年間17.5コマの英語教育を受講するカリキュラムを組んできた。現在、船橋市では子ども達が生きた英語にふれられるカリキュラムが出来上がっている。
その一つが専任のALTを市立小・中・高校全てに配置しているという点だ。全ての小学校を文部科学省教育課程特例校に指定し1年生から英語に慣れ親しむ環境を作っている。
もう一つは、主に地域人材を活用した市の非常勤職員であるJC(英語指導コーディネーター)の存在。英語を話せる市民32人にJC登録してもらい英語の授業をスムーズに展開できるようにALTと協力して密度の濃い授業つくりを行っているのだ。

市内の外国人登録は約2%

船橋市では、「これからの子どもは英語ができなければならない時代が来る」と考え、英語教育の底上げを行ってきた。全ての子どもが充実した英語の基礎教育を受けることによって、国際社会でのコミュニケーションを楽しむ事ができる人材を育ててゆこうというのだ。船橋市の外国人登録者数は11,471人(平成24年4月・千葉県調査)。市民の1.89%にも及ぶという。これらの外国人の多くが帰国子女や自国語しか話せない外国人が市内の学校に入学した際にボランティアとして学校生活に溶け込めるよう協力してくれているという。

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◆ALTのコメント

【西海神小学校ALT ダニエルさん】

日本の中高生はせっかく英語の基礎ができているのにしゃべれないのがもったいない。市のやり方ならコミュニケーションを取れる子どもが増えるはず。

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◆JCのコメント

【西海神小学校JC 片岡由季さん】

中学校の前段階で英語を好きにさせるも嫌いにさせるも私たち次第と考えると責任の重い仕事。いかに英語を好きになってもらうか必死にプランを練っています。

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【全国の中学生116万人対象 平成23年9月 文部科学省の全国調査より】

「船橋の外国語教育の成果だ」とは一概には言えないが、積極的に英語に関わろうという姿勢はこのグラフからうかがい知ることができる。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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