2023年03月29日 配信

ロスを活かすアイディア

 春からの新生活、気持ちよく迎えるために、整理をして不要なものが出てきたりしませんか? もしかしたらただ捨てるという選択ではなく、利活用できるものがあるかもしれない。

 今回は、訳あって廃棄されてしまう食べものや花、次に引き継いでいける商品、廃棄予定のものに手を加えて新しく価値のある商品へ生まれ変わる市内の取り組みをまとめました。

 ロスを活かす方法を知って、新生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

ロスフラワー
 私たちの毎日に彩りを与えてくれる存在の花。規格外であったり店頭に並ぶ前に折れてしまい、やむなく廃棄されてしまう花があるのをご存知でしょうか。
 ロスフラワーを活かし、素敵な商品として販売しているお店をご紹介します。
まだ輝きのある花に新しい居場所と素敵な時間を
karen flowers
 

年に数回開催する「蔵六三三〇の収穫祭」での出店のようす
 
 まだまだ輝きがあるのに廃棄されてしまう花・ロスフラワーのショップ「karenflowers」。市内在住の矢澤裕子さんは「売れ残ったり、花農家でやむなく廃棄されたりする花々が命ある限り輝けるように次の場所に繋げたい」と活動を開始。生花だけでなくドライフラワーも扱います。「花を見て四季を感じ、癒されて、自分と向きあう素敵な時間を持っていただけるとうれしい」と話します。オンラインショップのほかにレストラン「蔵六三三〇」(高根町)の軒下に出店しています。
 

「出店スケジュールはインスタグラムで発信しています」と矢澤裕子さん
 
karen flowers
DATA
※お問い合わせはインスタのDMより
 
折れたりした花を「ミニミニブーケ」に
フラワーショップ&スクール Lacorolle(ラ・コロル)
 
 
 船橋法典駅近くにある「ラ・コロル」では、アレンジメントレッスンだけでなく、生花、プリザーブドフラワー、ドライフラワーなどの販売に加え、花瓶やフラワークラフト、アロマストーンなど幅広く用意しています。子どもたちにも人気だというのは、「ミニミニブーケ」(110円)。「アレンジメントをする時に切り落とす花や、仕入れた段階で折れている花があって。廃棄するのは悲しいので、娘のアイディアで小さな花束を用意しました」と店主の伊藤かおりさん。手頃な価格なので、「ミニミニブーケ」は近所の子どもがお小遣いで買いに来ることもあるそうです。
 
「ミニミニブーケ」は、子どもの小さな手で持つと、さらにかわいく見えるという
 
 
「花を選ぶ楽しさを知ってほしい」と店主の伊藤かおりさん
 
フラワーショップ&スクール
La corolle(ラ・コロル)
DATA
住所:船橋市藤原2-17-18Y’sコート103
TEL:080-4734-8787
営業時間:10時~19時
定休日:水曜・木曜
 
 
食品ロス
 「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。日本は年間500万トン以上が食品ロスになっています。
 「季節限定のパッケージ」などで販売されたことで、まだまだおいしく食べられるのにやむなく販売できない商品は食品ロスになることも。食品ロスを減らすため2022年に登場した「fuubo」をご紹介します。
船橋市役所内にある
fuubo(フーボ)
 
 
 ZERO株式会社が運営する食品ロス削減BOX「fuubo」では、賞味期限が間近のもの、パッケージ変更や季節限定商品を定価より3割~9割引で購入できます。
 
 船橋市内では市役所に設置があり、2023年3月現在、市内での設置はそこだけです。自治体に置いてあるのは全国で3カ所だけとなる「fuubo」。市が進める「食品ロス削減推進計画」の一環として「fuubo」の取り組みに賛同し、設置されました。「これまでやむなく捨てられていた食品があることを、消費者の皆さんが知って、見て、食べる機会が増えてほしい」と廃棄物指導課の担当者。いずれは食品ロス削減が課題となっている市内事業者にも市の取り組みを知ってもらい、少しでも事業者の食品ロス削減に寄与していきたいとも話しています。
 
購入のしかた
購入には専用サイトでの事前登録が必要です。専用サイトにアクセスし、事前登録をします。
 
①商品を購入する専用WEBサイトからfuuboが設置されている場所および商品を選択しオンライン決済にて購入する
 
②fuuboに行く購入が完了すると、商品受け取り用URLが発行されます
 
③商品を取り出すURLを開くとカメラが立ち上がるので、fuuboに貼付されているQRコードを読み取るとロックが解除されます
DATA
船橋市役所
住所:船橋市湊町2-10-25
TEL:047-436-3814(廃棄物指導課)
 
 
 
ロスにんじん・ロス野菜 
 形がいびつだったり傷があったり、さまざまな理由で出荷規格から外れてしまった「規格外野菜」。食品ロス削減の観点から規格外野菜を活用していこうという取り組みも増えてきています。今回は船橋ブランドでもある「船橋にんじん」を中心に、船橋で育った規格外の野菜を活用している農園、商品をご紹介します。
廃棄野菜を減らそうと自ら野菜のリメイクにチャレンジ
重兵衛農園
 
右下から時計回りに「ニンジンのピクルス250円」、「ハリハリ漬け250円」、「株漬けキムチ100g175円(1円単位は切り捨て)」、「発酵キムチ350円」、「ベータードレッシング300円」、「白菜キムチ350円」
 
 300年以上続く重兵衛農園では、代表の仲村学さんの祖父の代からニンジンの栽培を始めました。春は糖度の高い「ベーターキャロット」を中心に、夏は茄子、枝豆など、冬は大根、白菜、カブなどを栽培していますが、野菜の病害虫や傷などさまざまな理由で出荷できないものを何とか廃棄しないようにと約1年前から漬物などの加工を始めました。試行錯誤しながらも改良を続け商品の種類は増えていますが、販売先が少ないのが悩みだそう。「不定期でもいいので少しでも置いてもらえる場所があればうれしい」と仲村さんは話します。
 
風通しが良く湿度の低いビニールハウスで割り干し大根を作っている
 
「重兵衛農園」代表仲村学さんにお話を伺いました!
ロスにんじんって?
 
 船橋にんじんの品種の一つ「ベーターキャロット」は、近年続いている病気などでニンジンにシミや割れが生じ出荷できず、大量廃棄に追い込まれるケースが続くこともあり、現在、市内の生産農家は重兵衛農園含め、わずか3軒に減っています。
 
 そこで2020年春に仲村さんがSNSで窮状を発信したところ「おいしいし食べられるのにもったいない」と激励の声が多く上がりました。
 
 「まだ食べられるのに正規品ではない野菜を廃棄してしまう現実を生産者も考え直し、廃棄を減らす努力をしなければ」と廃棄野菜の加工を同年末に始め、翌年1月には販売を始めました。
 
代表の仲村学さん(写真右)。納得できる商品を作るため妻の美帆さんは「漬物料理アドバイザー」の資格を取得するなど勉強を続けている
DATA
重兵衛農園
販売先:奈良養鶏園(船橋市馬込町1161)、Tanaya(船橋市習志野台2-3-3)、リカージャック富浜店(市川市富浜2-7-6)
 
船橋ではロスにんじんを使った商品がこんなに!
 
規格外「ベーターキャロット」を冷凍可能な「にんじんポタージュ」として販売
ZUCCAMO(ツッカーモ)
 
「船橋産ベーターキャロットポタージュスープ」(180g400円)
 
 市内の飲食店「ZUCCAMO」が2020年5月から重兵衛農園の出荷できない「ベーターキャロット」を市場同等価格で買い取りポタージュスープに加工。「ベーターキャロット」本来の味を活かしたスープは同店の人気商品です。その味と同店のフードロス対策や地域の生産者支援にも貢献したことが認められ、2022年度の「優良ふるさと食品中央コンクール」で「国産農林産品利用部門農林水産省大臣官房長賞」を受賞しました。
DATA
キッシュと手作り総菜の店
ZUCCAMO(ツッカーモ)
住所:船橋市西習志野3-26-8
TEL:047-466-2440
販売先:店頭またはオンラインショップ
営業時間:月曜~水曜11:30~16:00木曜~土曜11:30~15:00、17:00~21:00
定休日:日曜・祝日
 
 
規格外のニンジンを使った「船橋にんじんポタージュ」
ラーメン963(クロサン)
 
船橋にんじんポタージュ1人前×4袋入り2,200円
 
 日本一のクラムチャウダーでも知られる「ラーメン963」では、地域ブランド「船橋にんじん」の中でも食味が良く栄養価も高いといわれる「ベーターキャロット」のうち、市場に出せないニンジンを使ったポタージュスープを販売しています。
 
 生産する「石神農園」(古和釜町)から、土壌の成分などによってニンジンにシミができたり、割れるといった症状が発生する連作障害によって、廃棄せざるを得ない状況にあるニンジンが多くあることを知り、商品の開発に至りました。「濃厚なのに後味は軽い。完全無添加で作っています。冷製スープとしても、温めてもおいしいですよ」とオーナーシェフ・黒川裕士さん。
DATA
ラーメン963
住所:船橋市本町2-27-20
TEL:047-498-9006
販売先:店頭またはオンラインショップ
 
 
サラサラにんじんジュース&濃~いにんじんドレッシング
勇之焏農園(ゆうのうじょう)
 
にんじんジュース(298円)にんじんドレッシング(980円)
 
 「船橋にんじん」を生産する勇之焏農園のオリジナル商品。収穫時に出てしまう規格外野菜を使用しています。品質が認められ市内の病院でも提供されています。
 
 「にんじんジュース」は、果汁と果肉の割合が7対3。細断した生ニンジンを茹でて裏ごしした上でジュースとペーストに分離。固い部分や繊維質などを取り除きサラサラな口当たりとなっています。「にんじんドレッシング」は、同園でとれた玉ねぎを加え調味料で味を調えているだけなので、素材本来の味が楽しめます。
DATA
勇之焏(ゆうのうじょう)農園
住所:船橋市三咲7-7-2
TEL:090-6567-3274(代表柳澤)
販売先:農産物直売所「フナベジ」、「ふなっこ畑」、三番瀬みなとや、マックスバリュ新船橋店、習志野台店、東習志野店など
 
 
次に引き継いでいく
 自分には不要なものも、必要としている人がいることも。取り組みを知ることで、もしかしたら自宅に眠るものを必要な人に届けることができるかもしれません。
不要になった制服を必要としている人へ
ふなばし制服バンク
 
 
 2017年にスタートした「制服バンク」は、不要になった船橋市内の公立中学校指定の制服を回収し、新品の20〜25%の値段で販売、支援家庭への提供などを行っています。購入希望者は「制服バンク」のホームページから来店予約し、サイズ合わせを行ってから購入できます。「ワーカーズコープちば」の岩下芙由子さんは、「転校やサイズアウトなどで急に制服が必要になることもあります。新品も良いが、リユースという選択肢があることを思い出してほしい」と呼びかけます。回収場所は「ワーカーズコープちば」や「ハレカフェ」など市内15カ所。
 
制服だけではなく、体操服・通学カバンなども取り扱っている
 
「寄付の際はクリーニング不要で、回収した制服は制服バンクでクリーニングしています」とワーカーズコープちばの岩下芙由子さん
DATA
ワーカーズコープちば
住所:船橋市高根台6-2-19
電話:047-404-3607
営業時間:平日10:00~17:00土日祝ご相談ください
 
 
読み終わった本を集めた図書館
民間図書館
 
 
 民間図書館は民設民営の公共図書館。読まなくなった本や自宅で眠っている本を地域の人が寄贈し、商店街の空き店舗や空き家、商業施設、老人ホームなど市内で10カ所以上で運営しています。管理は主に近隣のボランティアで行っていて、地域の人たちが気軽に集まれる場所にも。
 
読み終わった本をいつでも気軽に寄贈できるよう、BOOKベンチを設置。1冊から気軽に寄贈することができる
 
「本の寄贈もボランティアもいつでも受けつけています」と代表の岡直樹さん
DATA
NPO法人「情報ステーション」
船橋北口みらい図書館
住所:船橋市海神2-8-14
TEL:047-409-4680
 
 
アップサイクルで新しい商品へ 
 あたり前のように捨てていたものもアイディア次第で、全く別のものに生まれ変わるかも。「アップサイクル」は、廃棄物や不用品の、素材や形など特徴を生かして新しい商品にアップグレードします。
不要になった布や糸が小物やアクセに!
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齊藤さんのお気に入りだったズボンを子どもの通園バッグのポケットに変身、親子でさらに思い出が増えたと話す
 
 幼い頃から工夫して創ることに親しんできた市内在住の齊藤理奈さんは、アップサイクル小物の販売やワークショップなどマルシェを中心に活動中。不要になったものにアイディアと創造性をプラスしてより良いものへと生まれ変わらせています。
 
 齊藤さんが手掛けるアップサイクル小物は主に布小物。「いつかモノ作りが好きな人とアイディアを出し合いながら活動するサークルのような場を作りたい。個人でもできる小さなことをコツコツ続けることで、いつか大きなことへと繋がっていくことを願っています」と齊藤さんは話します。
 
 
「なかなか捨てられないお気に入りだった物や不要になったボタンなどの素材も、まだまだ活かせることを知ってもらえたらうれしい」と齊藤理奈さん
DATA
yue
出店予定:4月8日葛飾八幡宮(市川手づくり市)
 
「古畳」を畑の土作りや堆肥作りに活用したい人へ
五十嵐畳店
 
 
 五十嵐畳店が行っているのは、「古畳」を畑の土作りや堆肥作りに活用したい人へ無償提供するという活動。昔からの畳は「畳床(たたみどこ)」と呼ばれる芯にあたる部分にワラが使われています。昔の農家では畳替えの際に「畳床」をばらして堆肥や畑の土と混ぜて畑の肥やしにしたり、スイカやキュウリなどの栽培では「敷きワラ」として活用してきた歴史があります。そこに着目した2代目の五十嵐実さんは、回収してきた古畳を農家や家庭菜園などで活用できるよう持ち運びやすいサイズにカットし、頼まれた畑の近くまで運ぶこともあるそうです。
 
「い草」の良い匂いを楽しんでほしい・空気の浄化作用や消臭効果に優れている事から「和のフレグランス」を制作し無料配布している(配布時間は要確認)
 
「創業当時から取り組んできたアップサイクル。今後も継承していきます!」と2代目の五十嵐亮太さん(写真左奥)
DATA
五十嵐畳店
住所:船橋市駿河台2-18-9
TEL:047-422-1005
営業時間:7:00~20:00
定休日:不定休
 
 
 
こんな生まれ変わりも!
廃ペットボトルが道路に
 
傷んだ道路を10センチ削り、通常のアスファルトを敷き、その上に「ニュートラック5500」を5センチの厚さで敷いて打ち固めます。1月下旬に「ふなばし三番瀬海浜公園」近くの市道、324メートルを施工しました
 
 船橋市は、廃棄されるペットボトルを活用した道路修繕工事を実施しました。「花王」が開発した廃PETを活用した「ニュートラック5500」を通常のアスファルトに配合することで、「5倍の耐久性が保たれる」といわれています。この工法での道路修繕は、関東地方の自治体では初。
 
 市道路維持課の主任技師・小久保翔太さんは「潮見町地区は頻繁に大型車が通行するので、短期間で道路が傷んでしまいます。廃PETを活用した添加剤を配合することで耐久性がアップし、環境問題にも対応できるので、効果が確認できれば、他の道路にも活用したい」と期待を込めています。
 
 

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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