2023年10月31日 配信

「TN(東葛南部)パスネット骨粗鬆症連携手帳」の導入

災骨粗鬆症を防ぐために医療機関が連携

 「東葛南部医療連携パス」のことである「TNパスネット」は、千葉県東葛南部地域における医療連携を円滑に進めていくためのもので、2007(平成19)年から導入されています。脳卒中や心不全などのTNパスネットもありますが、今年4月から整形外科では骨粗鬆症に関する「TNパスネット骨粗鬆症連携手帳」の導入が始まりました。

 骨粗鬆症が原因で生じる大きな症例は、大腿骨近位部骨折と脊椎圧迫骨折がありますが、骨粗鬆症が重篤な疾患であるという認識が一般的に乏しいため、手術後リハビリを一定期間終えたらその後の治療もせず終わってしまうことが多いのが現状だそうです。「直接生命に関わることがないと思われているのも理由の一つ」とも。

 骨粗鬆症が原因の骨折は、再び骨折するリスクが高まり「骨折の連鎖」を生じるので、退院後もかかりつけ医で骨粗鬆症の治療を継続していくことが重要になります。

 地域連携担当理事の医師・宮川一郎さんが中心となり、試行錯誤しながら完成した「TNパスネット骨粗鬆症連携手帳」。この手帳には骨粗鬆症の経過、使用した骨粗鬆症治療薬、骨折の記録などのほか、救急病院、リハビリ病院、かかりつけ医の医療機関名を記載するページがあります。「この手帳があると紹介状が書きやすいだけでなく、情報も共有できるので、骨折予防のための治療の継続がしやすくなります。医療機関の名前があるだけでも全然違います」と大数加さん。

災骨粗鬆症リエゾンサービスで骨粗鬆症性骨折率の低下を目指す

 骨粗鬆症が原因の大腿骨近位部骨折の発生件数は増加の一途をたどっているにも関わらず、加療率は20%前後という報告があります。「骨折して治ったら終わりではない。骨粗鬆症の認識が必要で、治療ができるものなのに自らしないのは残念なこと」と大数加さん。医師、多職種のメディカルスタッフが相互に連携しながら実施する、骨粗鬆症の予防と改善および骨折防止の取り組み「骨粗鬆症リエゾンサービス」を行うことで、骨粗鬆症性骨折率の低下を目指しています。

 「整形外科だけでなく内科の先生にも協力してもらいながら、骨粗鬆症の予防、治療を行うことが、再骨折予防にとても重要ですし、社会的コストの削減にもつながります」と話します。


医療機関で配布。救急病院、リハビリ病院、かかりつけ医の密な連携が骨粗鬆症の予防と骨折防止の鍵となる


おおすか整形外科では、「骨粗鬆症リエゾンサービス」の一環として定期的に体操教室を行っている

取材協力

船橋市整形外科医会会長
おおすか整形外科院長
大数加光治さん

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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