船橋市が運営する公設市場である「船橋市地方卸売市場」。市場の現在の状況と今後の整備や取り組みについて、今年4月に就任した初の女性の地方卸売市場長・樫尾巳代さんにお話を伺いました。

 

 

MF●船橋市場はどういう場所ですか?

 

樫尾さん●船橋市場が現在の場所に開設して54年が経過しました。全国各地から集まった生鮮食料品などに適正な価格をつけて、できるだけ早く仕分けし、小売店(八百屋、スーパーなど)、外食事業者(レストランなど)、加工業者へ販売する拠点です。

 

MF●どのくらいの数の業者がいるのですか?

 

樫尾さん●青果部卸売業者1者、水産物部卸売業者1者、青果部仲卸業者約15者、水産物部仲卸業者約55者、関連事業者が、乾物や海苔・食堂など約40者です。

 

MF●市場に一般客は入れないのでは、と思っている方もまだいると思います。

 

樫尾さん●そうですね、市場の入り口に警備員もいますので、入りづらいと思うかもしれませんが、一般の方の利用も可能です。青果物はイベント以外ではほとんど小売りはしていませんが、水産売場では魚1匹から買うことができる店もあります。珍しい魚もあり、調理方法を教えてくれますよ。関連店舗棟は幅広く商品を扱っていて、食堂もあるので、買い物の後に食事される方もいます。ただ、水産売場は10時過ぎ、関連店舗棟も14時にはほとんどの店舗が閉まるので気を付けていただければと思います。

　偶数月の第一土曜に「ふなばし楽市」を、今年は8月26日に「夏祭り」も開催予定です。(p22参照)

 

 

MF●施設の再整備など活性化への取り組みが始まっていると聞きました。

 

樫尾さん●はい、令和3年3月に、今後の市場のあり方、整備の考え方などを整理し、目指すべき同市場の姿と方向性を定めた「経営戦略」を策定しました。将来像として「地元愛と躍進!船橋市場〜魅力あふれる広域的な流通拠点を目指します〜」と掲げています。

 

MF●具体的に市場の再整備について、現状をお聞かせください。

 

樫尾さん●管理棟は新しくなりましたが、市場施設・設備の老朽化は進んでいて、施設の配置も海老川を挟んで東西に分かれているので、非効率な状況です。特に関連店舗棟と冷蔵庫棟は耐震性能に不足があるので、まずこの2棟を令和6年度から8年度で建て替え、令和9年度の利用開始を目標としています。新冷蔵庫棟は水産棟の近くに配置して、移動距離を短くし、機能強化を目指しています。

 

MF●市場の隣にあるJR社宅跡地との関連性はどうでしょうか?

 

樫尾さん●新関連店舗棟は海老川沿いに配置予定です。現在はJR社宅と市場がつながっていませんが、新しい施設では行き来できるように、JRとも話し合いを進めているところです。市場の活性化のために、これまでの店舗に加えて魅力ある店舗を誘致するなど、皆さんに市場へ足を運んでもらい、食に興味をもっていただけるような仕組みづくりを考えています。

 

MF●初の女性の場長ですが、そのことについてはどうですか?

 

樫尾さん●そうですね、特に意識はしていませんが、日頃のやり取りでは話しやすい雰囲気になっているかなとは思います。

 

MF●最後にどんな市場を目指していきますか。

 

樫尾さん●市場というと、市民の皆さまにはまだまだ馴染みの薄い所と思いますので、もっと親しみやすい場所にしたいですね。そのためにも、現場で働く方々との交流を深めて、様々な情報を発信していきたいです。年間を通じていろいろなイベントを開催していますので、ぜひご家族でお越しください。

 

MF●全国から選りすぐりのおいしいものが集まる市場は大切な存在ですよね。新しい市場も楽しみです。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

 

昨年末の市場の様子。早朝4時頃から徐々に来場者が増え、例年にぎわっている。駐車場は無料

 

ゾーニングイメージ図案。物流や利用者の動線効率を向上させるため、施設を東側に集約。西側については未定で、状況に応じて方向性を確認していく予定