各専門分野で船橋の街づくりにおける第一線で活躍されているみなさんに、船橋の街づくりにおいてどのように関わっていらっしゃるのか、直撃インタビュー!
船橋市下水道部 下水道施設課 事業担当 齊藤博紀(さいとうひろのり)さん
※撮影のためマスクを外しています
船橋市は、高瀬下水処理場で汚泥から発生する消化ガスを利用した発電および外部売電を4月1日から開始しました。市は年間約1億円の収益が見込まれる、民設民営方式で実施する「高瀬下水処理場消化ガス発電事業」の概要について担当の齊藤博紀さんにお話を伺いました。
・下水汚泥から生成した消化ガス(メタンガス)で発電する
・市は消化ガスの売却と発電施設の土地占有料で、年に約1 億円の収益
・下水汚泥の有効利用で「チャレンジ『ゼロ・カーボン』ふなばし」を推進
私たちの生活排水などが「高瀬下水処理場消化ガス発電事業」で電気に
MF●高瀬下水処理場についてまず教えてください。
齊藤さん●平成11年に運転開始した高瀬下水処理場は、船橋市最大の処理区で、1日8万〜8万5千立法メートルの処理を行っています。計画処理人口は、約26万人分の人口に対応しています。
MF●市内で一番大きい下水処理施設なんですね。これまでの処理方法を教えてください。
齊藤さん●集められた下水は沈砂池でまず大きなゴミを取り除き、時間をかけて細かい汚れを取り除きます。その後、微生物の力を借りて、水と大きな塊となった汚泥とに分かれます。その汚泥は汚泥濃縮機、脱水機にかけて水分を減らして、セメントの原材料などとして再利用しています。ちなみに、セメント化するには費用がかかるので、市が負担しています。
MF●これまでも再利用されていたんですね。今回の再利用方法はどういうものですか?
齊藤さん●今回は、これまでの下水処理工程で発生する汚泥を、新たに建設した消化タンクに運び、そこで汚泥を発酵させて消化ガスを発生させます。発生した消化ガスは白い大きなガスホルダに貯留され、その消化ガスを用いて発電するという仕組みです。
MF●これまでセメントの材料だったものが、工程を増やすことで、電気になるんですね。
齊藤さん●はい、電気として有効活用されるだけでなく、汚泥自体も減りますし、匂いも軽減されるのもメリットです。
MF●なるほど。いいことばかりですね。民設民営方式とはどういうことですか?
齊藤さん●民間のノウハウを最大限に活用して、今回はプロポーザル方式で選ばれたJFEエンジニアリング株式会社が消化ガス発電設備などを備えた消化ガス発電施設を建設し、施設内の運転や管理も行います。
汚泥を有効活用して環境に貢献するだけでなく市の収益もアップ
MF●市と民間企業との関係はどういうものですか?
齊藤さん●民間企業の持つ技術や資金を活用して設備の整備や運営を行うことを目的としていて、プロポーザル方式で選定した「JFEエンジニアリング株式会社」と事業契約を締結しました。市は消化ガスの売却代と発電施設の土地使用料が収益として1年間に約1億円となります。
一方事業者は、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度で売電します。これは太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及を図るため、電力会社が一定期間固定価格で買い取ることを義務付けた制度です。年間売電量は、一般家庭約1200世帯分と想定されていて、CO²削減効果も年間約2千2百トン期待できます。
MF●地球温暖化防止に貢献しているということですね。
齊藤さん●市は長期目標として2050年ゼロ・カーボン(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に挑戦します。本事業は市の掲げる「チャレンジ『ゼロ・カーボン』ふなばし」を推進していきます。
MF●汚泥はすべて消化ガスとしてなくなるのですか?
齊藤さん●いいえ、消化後も汚泥は残るので、また汚泥処理棟へ戻されて最終的にセメントの原材料などになりますが、量は少なくなるので市の負担額も以前より少なくなります。
MF●新しい施設の稼働にあたり、大変だったことは何ですか?
齊藤さん●毎日休みなく下水が運ばれてきます。今回、稼働した状態での新しい施設への切り替え作業は大変難しかったですが、再生可能エネルギーを有効利用することで地球温暖化防止にも貢献できますし、市の収益増にもつながっています。みなさんに広く知ってもらえればうれしいです。
MF●下水道の新たな有効利用について知ることができました。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
消化ガスを発生させるには37~38度にする必要があるが、発電機の廃熱を利用して温めているため、エネルギー効率が高くなっている
船えもんが書かれた消化タンクで消化ガスを生成し、白い丸いガスホルダに貯留した後、消化ガス発電設備で発電して売電する
※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
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