2020年10月29日 配信
ふなばし×農業

都市でありながら、農業、漁業も盛んな船橋。だからこそもっと生産者のことを知っておくことで、生産者にとっても私たちにとっても、よりよい暮らしがあるのではないでしょうか?


蜜症の症状が出ている「豊水」。密症の梨は常温保存すると症状の広がりが早いため常温で遠方に送ることは難しいのだという

「豊水」に多く見られる「蜜(みつ)症」

 今年の夏、市内の梨農家直売所では「豊水」がなかなか買えないという事象が起きた。それは「豊水」に多く見られる生理障害のひとつ「蜜(みつ)症」が出ているものが例年よりも多かったためだという。

 「蜜(みつ)症」はリンゴやナシなどの果実に現れる生理障害のひとつで、梨の中では特に「豊水」に発症しやすいという。症状が出ていても人体に害はなく、梨自体は食べられる梨となる。

 しかし果実を切ってみると果肉の一部が水浸状となり、切ってしばらく経つと黒ずんでくる。その見た目から、一般の人には販売できず廃棄することが多い。大量の「豊水」を抱え「どこか受け入れてもらえる店などはないだろうか」と悩んでいる農家があることもわかった。

「食べても害はないが、売ることはできない」農家の事情

 市内の梨農家「船芳園」(船橋市二和東2)の加納芳光さんによると今年は「豊水の収穫ピーク時には、梨が約30キロが入るケースで1日5ケース分もの症状が出ている梨があった」という。「8月26日現在は1日に出てくる販売できない梨は約30キロ分」とも。

 県からも毎年「豊水」における密症発生割合の予測値が知らされるなど、各農家は普段から発生を極力抑えられるよう気を配りながら栽培しているが、昨今の異常気象の影響も大きいと見られている。

 関係者によると「蜜症は、7月の気候が低温が続いた場合や長雨によって発症しやすい。今年はまさにそれがあり、さらに梅雨が長かった。春には雪も降った。こうした気象の変化が大きく影響している」と話す。

 JAいちかわ船橋梨選果場運営委員会事務局スタッフは、選果場に集めたものの出荷できない梨については、「当選果場に納めている梨農家さんの場合、症状が出ている梨やキズがある梨など、通常の販売ができない梨については加工用として買い取ります。その後、梨ジュースやゼリーの原料となったり、大手スーパーで販売されている梨味の缶チューハイの梨汁に使われたりしています」と話す。

 船芳園の加納さんは「個人でやっている農家の場合は、販売できない梨を自分でどうにかしなくてはいけない」と話す。

 同園では以前から親交の深いジェラート店や市内飲食店で密症の梨を引き取ってもらい、一次加工し、菓子原料やジャムなどに加工しやすい「コンフィチュール」にするため商品として活用するなどの取り組みを行っているという。

飲食店とのコラボで廃棄の梨を減らしたい!

 さらに「ほかにも多くの農家さんが廃棄しなくてはいけない梨の行き場に困っていると思う。もし協力いただける飲食店さんの中に、知り合いの梨農家さんがいらしたら聞いてみていただきたい」と呼びかける。

 前出のジェラート専門店「アルトポンテ」(船橋市金堀町)代表の髙橋裕武さんは「蜜症の豊水は品質的に全く問題なく、むしろおいしく仕上がっている!と感じるくらいです」と蜜症の特徴を話した。

船橋の梨農家、梨情報が詰まったWebサイト「船橋のなし」ホームページ https://funanashi.myfuna.net/

もし「来年、梨をなんとかできるかも!」という方がいらっしゃいましたらまいふな編集部(info@myfuna.net)または市場カフェ(船橋市市場1-8-1関連棟)までお申し出いただけますとうれしいです!

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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