船橋市生活学校運動推進協議会 会長
稲葉 澄子 氏
「生活学校」をご存知だろうか?これは全国組織で、千葉県内では唯一船橋市にある組織になる。どのような思いで、どういった活動をしているのかを、会長の稲葉澄子さんに伺った。
生活学校は全国組織で、1975(昭和50)年に発足した「全国生活学校連絡協議会」が母体です。現在38都道府県が加盟し、全国に生活学校は330校、1万4000人が登録しています。日々の暮らしに密着した問題を正確に把握するための学習や対話集会を重ね、生活学校運動の充実や発展、活力ある豊かな地域社会を築くことを目的に活動しています。
1981(昭和56)年に発足した「船橋市生活学校運動推進協議会」が千葉県内では唯一で、現在市内に13の生活学校(とうぶ、つかだ、ならしの台、みさき、しんたかね、かつしか、やくえん台、ふたわ、ちゅうおう、つぼい、ほうでん、なつみ、はさま)があります。全校で生徒数は682人、平均年齢は72歳、全国一の会員数です。一番古い「とうぶ生活学校」は39年目を迎え、各学校は毎月1回、公民館で学習会を開き、13校で年間143回の開催になります。同協議会の役員は会長1人、各学校の代表が務める会長代行6人、副会長4人、理事6人、事務方3人がいます。
東日本大震災や熊本大地震の支援、さらに障がい者施設慰問事業、地域活性化事業として市民まつり(阿波踊り)に参加しています。ほかにも市民公開講座の運営、三番瀬清掃、献血推進協力、小学生への郷土食の伝承と食育指導、和食文化の伝承、全校対象の食品ロス削減全国運動などがあります。
食の欧米化が日常になってしまっている今だからこそ、日本食の作法やマナーなどを伝承していく必要があると思っています。毎年、学校生による会席料理の新年会を開いています。そのための事前準備として、毎年1月4日には私の自宅で役員新年会を開き、各学校代表がそれらを食しながら参考にしています。そこで食す料理のレシピを各学校の代表が考えます。わたしが料理の手ほどきをし、日本食のマナーなど日本文化について伝えています。市長、医師会長ほか名士をお招きすることが恒例となっています。各学校は各公民館で、すべて手作りの会席料理で新年会を開き、わたしは献立、盛り付けなど料理全般についての助言をしています。
50年近くボランティア活動を続け、人を育てることこそが人生の一番の大仕事だと思っています。「勇将の下に弱卒なし」と言いますが、生活学校のみなさんは、心の熱い、礼儀正しい方ばかりです。人が育てば、わたしがいなくなった後も伝承したことは続いていくでしょう。
※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください