2019年11月09日 配信

ドールハウス作家/舞台美術・舞台監督 本澤 敏夫さん

国内ドールハウス界のパイオニア「見て楽しい」手作りの世界

 ドールハウスとは精巧に作られたミニチュア建築物のこと。室内の家具や料理など、細部にいたるまで、その質感などが巧妙に表現され、コレクターも多い。本澤さんは、日本におけるドールハウス作家のパイオニア的存在で、1997年にはテレビ東京・TVチャンピオン「日本ドールハウス作家選手権」で優勝しているほか、全国の百貨店や画廊で個展や展示会を開催してきた。現在では海外でもドールハウス作りの指導をし、韓国にも本澤さんのファンが多い。

 本澤さんは高校卒業後、芸大の油絵科を目指す傍ら、舞台美術の仕事を始める。舞台美術のイメージを主催者や現場スタッフに伝えるためにその模型を作り始めたのがドールハウス作家としての原点。当時、1970年頃は日本ではまだドールハウスが知られておらず、材料選びから作り方など、独学で試行錯誤してきた。

 「劇団四季」退職後はフリーで数多くの舞台美術や舞台監督を手掛け、2001年からは船橋市芸術舞踏協会主催「ダンスコンサートふなばし」の舞台監督を務めている。

 ドールハウス作家としての本澤さんの作品にはパリをテーマにしたものが多い。「パリは絵描きのあこがれ。今は昭和の民家にも興味がある」と言う。図面は引かず、作りながらサイズや材質など臨機応変に決めていく。「図面があるとそれにとらわれてしまい人間味がなくなる」と話す。「細かいところもじっくりみてもらうと発見があるように、隠しネタを仕込んでいる。それを見つけた人との会話が楽しい」とも。店主から注文を受けて店のドールハウスを制作する場合は、店主の私物やペットを入れるとその人らしさが出るのだと明かす。

 「小学2年から通った小岩の絵画教室の先生に『絵は描かくのではなく、描えがくもの』と言われたことが今になってわかる。ドールハウスも実物を写すのではなく、自分の感性を通わせてできるもの。作品と向き合い、完成して自分のものになった瞬間が至福の時です」と笑顔がこぼれる。


細かい料理やワインボトルも手作り


作品の手直しをする本澤さん

プロフィール
1947年 東京都江戸川区生まれ
1961年 船橋市丸山に転居
1970年 ドールハウスの制作を始める
1985年 「劇団四季」で勤務
1988年 フリーランスの舞台美術、舞台監督に
2001年 大韓民国水原市にドールハウス教室「ドールハウスワールド」を共同設立(のちに学校法人化)
2019年 法典児童ホームで作品数点の 展示開始予定

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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