2015年03月29日 配信

 3/29(日)船橋商工会議所で「希望が生まれる介護セミナーin千葉」

介護現場の人が語る本気のセミナー

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 船橋商工会御所会館(船橋市本町1-10-10)6階の大会議室で328日、「「希望が生まれる介護セミナーin千葉」が開催され100人近い介護・福祉関係者が集まった。

 

 「希望が生まれる介護セミナー」は、十日町介護グループ代表の田中晶さんと、NPO法人シルバー総合研究所の山下総司さんが立ち上げたもので、北海道や新潟、愛知や秋田でも開催されている。地元で福祉にかかわる有志の思いを集め、一人一人のつながりを大切にしながら「介護への希望を持つ」ことを目的としている。

 それぞれの講師が「生まれて良かった、生きていて良かった」というテーマに対して自身の立場から現場で起きていることを実例とともに話した。

 午前中に主催の田中さん、山下さんが講師として登壇。午後からは、船橋市を主戦場に福祉・医療業界で活躍する6人が登壇した。それぞれ、高齢・障がい者福祉サービスを提供する立場、医療従事者、障がいを持つ人の親という立場から本音で福祉について話した。

 

 この日は、認知症をテーマに「徐々に自分が自分でなくなっていくもどかしさや、切なさ」を歌詞にしたシンガーソングライターの夏目ひみかさん。船橋市内をメーンに主に千葉県北西部で障がい者の作業所を経営するぐらすグループの友野剛行さん、八千代医療センターで小児救急の認定看護師として勤務する菊地良実さん。

 そのほか、介護老人保健施設ほうゆうの杜(千葉市)で総務課長を務める村島淳さん、(発達ネットワークママの会)代表の橋本純子さん、就労継続B型の作業所を複数運営するNPO法人1to1理事長の武井剛さんの6人が講師として登壇した。

 

 夏目漱石直径の玄孫(やしゃご)だという夏目ひみかさんは、認知症を的確にとらえた認知症ソングや音楽活動について紹介し、友野剛行さんは障がいを持つ人の利用できる福祉サービスと、現制度における問題点について話した。

 

 菊地良実さんは、県内の小児救急医療ネットワークの現状と現場の看護師が抱えるジレンマについて話した。講演の中では、医療の発達によって多くの人の命をつなぐことができるようになったがその後のフォロー体制が追いついていない現状と、命を救った患者の両親から「こんなの助けた内に入らない」と投げかけられた言葉、そこから生まれた「私たちが頑張ることで世の中に障がい者を増やしているのではないか」という疑問について赤裸々に話した。

 

 この日は、菊地さんがこれまでに救ってきた患者の代表として2組の家族が応援に駆けつけた。生まれてすぐに呼吸器をつけて生活する事を余儀なくされた乳幼児の母親は「先のことを考えて暗くなるのではなく、今を一所懸命生きる事の大切さ」を参加者に直接伝えた。

 生後間もなく「2歳までは生きられないだろう」と医者から宣告させた重度の呼吸器疾患を抱えた現在14歳の少女は、父親に運びやすく改造してもらった呼吸器を引きながら自分の足で登壇、「20歳まで生きたい」と素直な目標を話し、会場を涙で包んだ。

 

 村島さんは、認知症患者の症例を経験から紹介。認知症患者を認知症の症状として見るのではなく人間として見ることの大切さを話した。「認知症介護に必要なのは観察力と想像力、目の前の人を一人の人として理解することで適切なかかわりを持てる」と具体的な症例とともに話した。

 

 橋本純子さんは、次女のADHD(注意欠如多動性障害)が中学校入学に合わせて進行し、真っ白な部屋のベッドに両手両足を縛りつけられたままに、過ごした娘の1年間を涙とともに話した。その後、娘を理解してくれる人との出会い、そこから変わった娘の生活について言及し、「制度ではなく人のつながりの大切さ」を話した。

 橋本さんは、障がいを持つ人の家族という立場から、専門職の人に対して命のバトンを渡し、菊地さんは救命救急というギリギリの現場で命を救った立場から命のバトンを介護の専門家に渡した。

 それぞれの現場で、事例発表により受け渡された命のバトンは、この日続いて行われた懇親会により、さらに強固なつながりとなり、制度を超えた福祉のネットワークとして人と人との間に根付いたようだ。

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MyFuna編集部

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