2016年12月27日 配信

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市内各神社でも舞や特長が異なる「神楽」口伝だけで数百年と伝わる伝統の舞

市内の神社でも、神楽を見ることができるのをご存知でしょうか?神楽とは、日本での神事において神様に奉納するための舞のことで、その地域住民に口伝で伝えられてきたもの。関東首都圏では千葉県が神楽団体数1位(※)。そのうち市内には神楽を継承する団体が5つあります。地域によっては400年以上も前から伝えられているものもあり、各神社で舞の内容が異ったり、曲調や舞のスタイルも少しずつ違うと言われています。各神社の神楽殿で、それぞれ決まった日に神楽は奉納され、誰でも見学自由です。どこも共通しているのは「餅まき」があること。神様にお供えした餅のお裾分けを受けられるとあって、昔から子どもたちが多く集まる場でもありました。こうして地域の人たちが先祖代々受け継いできた伝統を、ぜひ見に行ってみては?
(※)伝統文化活性化国民協会と「全国神楽連絡協議会(仮称)」設置のための懇談会が平成21・22年に共同実施した「神楽伝承状況実態調査アンケート」による

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初めて神楽を見る人のための船橋の神楽プチガイド

お話を伺ったのは
船橋市民文化創造館 班長/石井信生さん(48)
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神楽はどうやって見るの?


苦しく考えないでほしい。寒い時期に行われるため防寒対策をお忘れなく

特に決まりはありませんので、自由にご観覧ください。神域のなか、舞や装束の美しさ、笛や太鼓の音に包まれて郷愁を感じていただければと思います。本来、神楽は神様に捧げているものなので、観客にとって娯楽性の高いものではないんです。ですが、私が小さかった頃は「お祭りがあると神楽があって、最後の餅まきでお餅がもらえる」という、なんとなく楽しい場所のひとつでした。見る方それぞれの楽しみ方で見ていただけたらと思います。

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どんな内容を舞っているの?

儀式や神話などさまざまで、神社によっても異なる

神様に捧げる儀式だったり、五穀豊穣や豊漁を願い、収穫を神様に感謝する神楽があったりとさまざまです。神社によっても演じられる舞が異なります。大神宮でいうと、節分のときにだけ演じる舞があったりもします。

舞をしている人はどういう人たち?

地域に代々住む人で男性のみ

その地域に代々住んでいる人、いわゆる氏子が中心です。地域によっては氏子のなかでも長男だけ、という場所もあったようですが、今は楽部に入る人を集めるのも大変で、間口を広げているところもあるようです。はっきりとした理由はわかりませんが、楽部に入れるのは男性のみと決まっています。

見ていれば何を演じているか、わかる?

ナレーションや台詞はありません。想像力を働かせて

残念ながら、神楽にはナレーションはありません。
また、私が把握している市内の神楽に台詞はありませんね。ただ、多くの場合には神楽殿の前に座名を書いた垂れ幕が出ていますので、それを見て、舞手の動きから何を演じているか想像力を働かせて見てみてくださいね。

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※上記のほか、前原の御嶽神社に大宮神社神楽連が毎年神楽を奉納、10月14日には薬円台の神明神社で二宮神社神楽囃子連が奉納、10月24日には高根神明社神楽連が秋葉神社(高根町)で神楽を奉納している

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大神宮では節分の時だけに見られる座が演じられる

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各神社の例祭では屋台がたくさん並ぶことも

市内で見られるのは5つの神社の神楽

各地域の人たちが伝統を守り続けている

どの楽部もその地域に生まれ住んでいる人、つまり氏子が楽部に入り、神楽を継承している。先祖代々受け継がれてきた文化を途絶えさせないよう、年長者から後輩に、楽器や舞、装束の身のこなしなどを言い伝え、文化を守っている。

二宮神社
二宮神社神楽囃子連
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楽譜や所作の説明を書いた紙などはない。練習で舞を見てもらい、周りの人から「そこはこうして」などと指導を受け、覚えていく

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楽タコが登場するユニークな舞も

神楽以外にも雅楽や囃子など幅広く演じる

楽部人数は13人。一番若い人は20代。三山に住んでいる人で構成されている。ほかの楽部と違い、ここでは神楽以外に囃子と雅楽も練習し演じている。練習は基本的に毎週末に神社で行い、来られる人だけで練習しているという。

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楽長/小川廣則さん(71):楽部に入って33年。これを残していくという、自分に与えられた使命だと思って続けています

二宮神社
船橋市三山5-20-1
TEL/047-472-1213

 

飯山満町大宮神社
大宮神社神楽連
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過去に「きららホール」で演じた際にみんなで撮影。そろって写真を撮ることは滅多にないのだそう

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赤ちゃんが登場する座が演じられるのは市内でここだけ

それぞれが決まった役だけをずっと演じ続ける

46歳から72歳の全16人が所属。農家をはじめとする地元の氏子が集まっている。練習は平日・週末に関わらず、毎月決まった日に公民館で行い、舞は、各々が割り当てられた座だけを何年も演じ続けている。
ここ数年は前原の御嶽神社から依頼を受け、そこで演じることもあるという。

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楽長/林 勝一さん(67):私の担当はキツネの座。うちのキツネの舞は、よそと違って2人で息を合わせて踊るんです。緑の衣装がオス、朱色がメスのキツネなんですよ

飯山満町大宮神社
船橋市飯山満町2-843
TEL/047-436-2898(船橋市教育委員会文化課)

 

高根神明社
高根神明社神楽連
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神楽の仲間で、伊勢神宮での式年遷宮に参拝

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高根小での授業の様子

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10月にロウソクの灯りのみで演じられる舞「天岩戸」は幻想的(写真は別の舞)

地域が一体となって神楽を残す

現在は14人で構成。かつては30人ほどいたこともあるという。自分の産土(うぶすな)神に、これまで守ってきていただいた御礼をするのは当然のこと」と仲村さん。高根小学校では、25年ほど前から子どもたちが授業で舞を体験している。

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楽長/仲村定治さん(63)※右:神楽は親子3世代が入ってやるもの。好きとか嫌いとかいうもんでもないんだ
楽人/持井大輔さん(40)※左:親父も祖父も神楽に入っていました

高根神明社
船橋市高根町600
TEL/047-436-2898(船橋市教育委員会文化課)

 

船橋大神宮
大神宮楽部
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装束の着方ひとつを取っても先輩から指導があり、その通りに身にまとっていくという

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神楽が演じられる機会が市内で一番多い神社

部員みんながオールマイティーに演じられる

人数は現在は10人。年代は20.80代。48歳という若さながら楽長を務める石井さんは楽部に入って、もう20年以上。「舞はどの人でも演じられるように一通りみんなが覚えていますが、体格などの容姿で役を割り振ることが多いですよ」

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楽長・石井信生さん(48):餅まきもありますので、ぜひ家族で神社へご参拝ください

船橋大神宮
船橋市宮本5-2-1
TEL/047-472-5948

 

飯山満町神明神社
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ここでも、この地域の氏子たちが神楽を引き継いでいる

飯山満町神明神社
船橋市飯山満町1-639
TEL/047-436-2898(船橋市教育委員会文化課)

 

じっくりと鑑賞するなら10月に「きららホール」で

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2016年10月の様子

船橋駅前フェイスビル5階の「きららホール」では、2011年から「ちょっとよりみちライブ」の特別公演として毎年10月に市内の神楽を鑑賞できる機会を設けている。より多くの人に神楽に親しみを持ってもらえるようにと、解説つきで神楽を鑑賞できるまたとない機会。
2017年も市内神社の楽部の公演を予定している(入場無料)。問合せはきららホール(TEL 047-423-7261)まで。

編集後記
神楽というのは、趣味でダンスを踊るような「舞」とは別物だということがよくわかりました。おそらく昔は漁師や農家の人が、その土地への恵みに対する感謝や豊作・豊漁を願って、舞を神社で奉納していたのでしょうね。「入る人がなかなか集まらない」とは各地域の悩みでしたが、どうかこれから先の世代にも神楽が伝わっていることを願います。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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