2011年08月01日 配信

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社会福祉法人さざんか会/理事長 宮代隆治さん

多くの方々との出会いと交流
57年にわたるさざんか会の活動


自分らしくこの町で

私は〝さざんか会〟という社会福祉法人で働いています。昭和29年、船橋市在住の知的障害のある子をもつ数名のお母さんにより、〝船橋市手をつなぐ育成会〟が作られました。願いは一つ「この子らにも、人並みの幸せを」でした。以後57年間にわたり、様々な形で運動は続いています。

その過程で、具体的な障害者への福祉事業を行う為に作られたのが〝さざんか会〟です。私は昭和48年にこの法人に奉職し、38年が過ぎました。知的に障害のある方々、幼児期から青年期、成人期から高齢期へと法人が様々な事業を手掛ける中に、多くの方々との出会いと交流がありました。

大きく変わったこと

私がこの仕事に就いた頃は、障害福祉の世界は主に措置制度で成り立っていました。それは行政命令であり、「いついつから、どこどこの施設を利用しなさい」というものでした。戦後間もなく始まった、生活上の困窮者への救済的意味合いの強いこの制度に個人の選択余地はなく、障害者の主体性は軽んじられていました。

この間、昭和56年に国際障害者年が訪れ、ノーマライゼーションの思潮が世界に拡大することとなりました。そのテーマは「完全参加と平等」であり、障害者を憐憫や保護の対象としての存在から、権利と義務を共有する一市民としての存在へ、障害そして障害者観の変更を促すものでした。

それまでは、障害はあってはならないもの、それは克服すべきものであり、障害者はそのために努力すべき。富国強兵や殖産興業が国是とされ、経済成長にまい進することが良しとされたとき、個性の多様性や相違性に価値を置くことは疎まれていました。

漸く障害が故の不便さや蒙る不利益について、その軽減や解決は障害当事者や家族が負うものではなく、障害者を囲む環境、社会そのものに責務が求められるようになりました。

措置から契約へ

介護保険制度に遅れて、平成15年から障害福祉の世界も契約制度が導入されました。曰く、情報を入手して自由に選択し、どこのどのサービスを使うか貴方が決めましょう。そして、事業者とは対等な関係で契約を結んで下さい、と。障害者の主体性を尊重するということ、それは権利を擁護することでもあります。確かに、構えはこの方向を向きましたが、実際はどうでしょう。

選べるだけのサービスが目の前にない、選んでも充分なサービスを買うだけのお金がない。契約行為を理解できない知的障害者等の場合、誰が契約をするの。次々に問題が出てきます。

障害者の権利を擁護するために、社会福祉法への改正等いくつか手が打たれましたが、内実ともに障害のある人が福祉サービスを使うに、権利が担保されていると実感できるには、まだまだ至ってはいないようです。

時計の針を戻さぬために

折から、「障害者虐待防止法」が国会で成立、今年10月には施行されることとなりました。先述のような旧態然たる障害者観が残存し、平等な人権を省みない風潮が社会にある限り、障害者への虐待はなくなりません。精神的に肉体的に軽んじられ、虐げられてきた歴史がそこにあります。少なくとも、この種の事件が軽減していきますよう法の実効に期待しています。

「障害者権利条約」の一刻も早い批准も待望されます。国際障害者年同様、全人類的課題として障害者の権利獲得と擁護が捉えられ、その実現への具体的な施策が世界各国に求められました。進まぬ批准に、児童の権利条約批准も遅れ気味であったこの国の、民度を反映した政治の未熟さは歯がゆいものです。

この町が好きだから

この仕事を始めた38年前に、初めて出会った子供たちも、既に40歳過ぎのおじさん、おばさんになりました。ご家族もそのように年を取られました。多くのご家族は昔と変わらず、この町で暮らしています。中には、家庭を離れ自立してグループホームに暮らす人もいます。皆、この町が暮らしやすいし、それだけ愛着もあります。この町に家族で時には仲間と、或いは個人として自分らしく暮らしたい、そんな当然の思いが実現しますよう、私もそうであるように。その実現のための係わりを、これからも大切にしたいものです。

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【社会福祉法人さざんか会】
船橋市上山町1-157-4 ☎047-701-5135

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