2009年01月01日 配信

サザエさん一家を少子高齢化問題から見る 

江崎グリコの新CM「otona glico」が話題となっているのをご存知だろうか。

日曜の6時半と言えばサザエさんというのは誰もが知っていると思うが何十年たっても年齢が変わらないアニメから、今回の新CMは25年後のサザエさん一家を実写版で年相応の俳優を起用しているのだ。配役はカツオ(36才)を浅野忠信、ワカメ(34才)を宮沢りえ、タラオ(28才)を瑛太、いくら(26才)を小栗旬といった役柄とほぼ同世代の一流俳優を起用している。

再会編では磯野家の法事のシーンから始まり、家族の誰かが亡くなっていることがうかがえる。25年たった磯野家の年齢は波平が79才、フネが75とウン才(当時も50とウン才と言っているので年齢ははっきりしていない)、フグ田家はマスオが53才、サザエが49才となっていることを考えると最高齢でお酒が大好きな波平が亡くなったのか、几帳面な性格から認知症になったフネが亡くなったのか、いずれにせよ、どちらかが亡くなられたと考えるのが普通である。一方で磯野家の長男だからと未だ実家を出ていないカツオ、屋台でタコヤキを売っているタラオは結婚していないと思われる。ワカメは押入れからカツオの0点の答案を探し出したところを見ると久々に帰ってきて部屋の掃除をしたと考えられることから結婚している可能性が高い。イクラはIT企業の社長になり外車を乗り回し、高級マンションに一人住まい。この4人に子どもがいる確立は4分の1であることを考えられ、サザエさんがタラオを生んだ21才からすると日本の少子化は進んでいることが考えられる。日本の象徴的な家族は今、CMの中で高齢化と晩婚化、少子化の真っ只中にいるのだ。

こんなサザエさん一家を社会問題となっている段階の世代の高齢化問題に当ててみると25年後の団塊の世代は60才の夫婦が85才となる。団塊ジュニアである33才前後の夫婦は58才となり、低成長を続ける日本は共稼ぎが多くなっていることを考えると定年まであと7年働く労働者なのだろう。その団塊ジュニアの子ども世代は30才前後になっていて結婚して一人の子育てに奮闘中の夫婦であることが考えられる。このケースでは団塊の世代は15年後に今問題となっている後期高齢者として位置づけられ、要介護度が高く、子ども世代、孫世代の家族からの生活支援や介護により生活が維持される。

現在の介護保険制度では施設での介護から在宅での介護へと介護サービスのシステムを変えようとしている。しかしながら2007年より人口減少社会に突入し、人口推計では2010年に6720万人いる労働人口が2025年には6300万人へと6.25%と落ち込むことのだ。そのデータから見ると家族が家庭において介護を行うことは困難極まりない状況であることが予測される。そのように推測が成り立つ中で介護業界は深刻な労働者不足に悩んでいる。急激な介護市場の拡大に介護を担う人材の確保が追いついていかないのだ。更に少子化が拍車をかけ、介護福祉士の養成校も定員割れを起し、専門教育を受けた新規学卒者不足が社会問題化しており、介護労働者の確保のためにインドネシアやフィリピンからの外国人労働者を受け入れる準備が着々と進んでいる。

地元船橋市に目を向けると将来の高齢社会に対応するため、千葉県立豊富高校には介護科があり、社会福祉の知識や介護技術の習得を行っている。このような先進的な取り組みは地元の安心につながり、船橋市の福祉の向上に一翼を担っていると高く評価したい。このような地元を支える人材作りをぜひ船橋市にはお願いしたいものだ。

最後に、CMでは明かされていないカツオの職業だが、花沢不動産勤務ではなく介護士に、ワカメは看護師になっていることを切に願う。

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武石直人さん

船橋市社会福祉審議会委員、船橋市社会福祉審議会理事。

他は、全国、千葉県の業界団体多数で活動。

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
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