障がいと高齢の福祉を考える 福祉・介護・医療の連携
全世代で連携できる見守り合いシステム
一緒に生活している高齢者や幼い子ども、ペットの姿が見えなくなったとき、焦って近辺を探し回った経験のある人は多いのではないだろうか。特に認知症高齢者が行方不明になった際、死亡事故の7割は住居から500m以内だというから、早期発見がカギになる。
早期発見のための仕組みの一つとして今回紹介するのは、スマホにアプリをダウンロードさえすれば誰もが参加できる「みまもりあいプロジェクト」というシステム。厚生労働省のモデル事業として始まり、既に国内10都市で、県内では柏市が導入している公的なシステムになる。具体的には下記の流れをとる。
捜索依頼者がアプリを通して「捜索依頼」 ▼ スマホにアラートが届く ▼ 協力者が「協力ボタン」を押すと捜索者情報が表示になる ▼ 発見者が家族に連絡 ▼ 捜索者を無事保護 ▼ 捜索依頼者が「発見ボタン」を押す ▼ 各スマホに御礼が届く ▼ 配信情報は自動全消去 |
このアプリの利点の一つとして、捜索依頼範囲を500m・5・10・20キロと絞って捜索依頼できる点にある。市内全域に捜索願いを出すのは…という躊躇が和らぐ。
梶原さんが「アプリをダウンロードして、多くの人が見守り合いに参加することが大事です」と話す通り、参加する人が多ければ多いほど見守る目が増え、発見しやすくなる。 同システムは、現在導入しているいずれの自治体も、まだ高齢者に対してだけのアプローチにとどまっているという。
船橋市がこのシステムを全世代向けに導入すれば、高齢者から母親世代、若者まで誰もが関わる見守りシステム導入になり、全国初の取り組みになる予定。市長にも話をしたという梶原さんは「誰もが無料で使えるシステム。高齢者だけのためのものではなく、自分の子どもやペット、落とし物を探す際にも有効なので、自分事としてとらえ、全世代で見守り合えるようにしていければ」と話す。「いずれ国の標準体制になる可能性はあります」と同システムが日本の文化レベルまで発展することを願っている。
【取材協力】 板倉病院 院長 TEL 047-431-2662 |
(写真・文/大西 俊子)
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