靴や靴下を脱がすことも介助犬の大事な仕事
介助犬は、落とした物や遠くにある物、指示した物を手元まで持ってくる、立ち上がったり歩いたりする際の支え、靴や靴下などの着脱の手伝い、緊急時に携帯電話を持ってくること等の介助動作を、介助犬と暮らしている手や足が不自由な人(ユーザー)の指示に応じて行う。それによって、介助者が常に側にいなくても自立や社会参加の手段を手に入れやすくなる。
訓練士は、ユーザーが介助犬との生活を始めるまでに、医師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士等と連携し、行動の際に気を付ける点を共有。その後も障がいの進行や生活環境の変化に応じて継続的にフォローする。
これまで、補助犬に対する周囲の理解が不十分で、飲食店等で補助犬同伴の入店拒否があったという。平成 14 年に「身体障害者補助犬法」が施行され、公共施設や交通機関に補助犬を同伴できるようになり、翌年にはデパートや飲食店など不特定かつ多数の者が利用する施設でも同伴できるようになった。
千葉介助犬協会では、介助犬の育成・無償貸与事業を行っている。秋山さんは「介助犬はパートナー。ペットとは違うので、受け入れを理解してほしい」と話す。
介助犬候補の子犬は、生後 55 日前後から約1年間「パピーウォーカー」と呼ばれるボランティアの自宅で育てられる。船橋市でも現在2頭が飼育されている。
1歳過ぎからトレーニングが始まる。適性 評価、基本訓練、介助動作訓練を経て、介助犬希望者とのマッチング後に合同訓練を行う。訓練された犬で介助犬に向いているのは約3割。残りはイベント等で広報担当として活躍するPR犬になるか、ペットとして飼われる家庭犬として譲渡される。
運営のほとんどは寄付によって成り立っている。そのためPR犬と共に小学校等で啓発活動を年間 23 回、船橋駅等で募金活動を年間162回行っている。秋山さんは「補助犬のことを多くの人に知ってもらい、障がいのある人が補助犬と社会参加しやすくなるよう支えていきたい」と周知と協力を望んでいる。
介助犬には周囲の状況に動じない性格のラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーが向いているという
NPO法人 兵庫介助犬協会
千葉介助犬協会 (関東事務所)
訓練士 秋山 美樹さん
TEL 047-437-6155
(写真・文/大西俊子)
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