最近、「シェアリングエコノミー」という言葉を耳にする機会が増えてきた。船橋市内でも広がるシェアリングエコノミーには、どのような特徴があるのか、見てみよう。
「シェアリングエコノミー」の 定義は、個人等が所有する活用可能な資産等(有形・無形問わずスキルや時間お金なども)をインターネット上の「プラットフォーム」と呼ばれるマッチングサービスを介して他の個人等も利用可能にしようとする経済活性化活動全般を指している。
その概念に当てはまる事業は、貸し会議室、コワーキングスペース、駐車場のシェア、衣服のシェア、家事代行、育児代行、ネット上でのイラストやロゴ作成のように物やスペースといったサービスのマッチングまでと、多にわたっている。この概念は、内閣府が率先して普及を推進しており、平成 28 年には内閣 官房IT総合戦略室長の下に「シェアリングエコノミー促進室」を開設するなど活発な動きを見せている。
米国をはじめ海外ではメジャーでスタンダードな自動車の配車アプリ「Uber (ウーバー)」 (=一般の市民が空き時間を使って自家用車で目的地まで人を運ぶサービス)や「Airbnb (エアビーアンドビー)」(=民泊支援アプリ&サイト。個人の持ち家、空き部屋を旅行者に貸し出す仲介サービス)、フリマアプリの「メルカリ」など生活の身近なところまでサービスが及んでいる。
船橋市内では2014年2 月に市役所近くでシェアオフィスと貸し会議室を提供する「Katanaオフィス船橋」が開業したのが最初の動きだと思われる。その後、石井食品が本社社屋をリニューアルしたタイミングで「地域に貢献したい」という同社の石井会長の想いを形にするように、1 階をシェアスペース「ヴィリジアン」に改修したのが2014年 8 月。同社商品を使ったランチはもちろんイベントやセミナーなどに使えるフリーなスペースとして開放した。2015年には、保育園併設のカフェスペース「たちばなごはんカフェ」がオープン。2016年には船橋市場内にある弊誌編集部の 1 階にワークショップなどを通じた地域人材の交流を目的とした「市場カフェ」がオープン。
その後、続々と、建築・建設会社の本社社屋や物流センターの場所でママイベントやマルシェ、ワークショップ、料理教室などを開催できるフリースペースを本社や展示場に併設するなどの動きがみられるようになってきた。
船橋市内の傾向としては、美容室にカフェを併設したり、高齢者施設に駄菓子屋を併設している場所、塾とカフェが一体になった事業、編集拠点として場所を提供する幼稚園・霊園のコミュニティセンターなどさまざまな事例が出現。
地域の課題を解決するため、事業者が特にネットやアプリを介さなくても、リアルに地域住民や地域活動に「場」を開放しているパターンが多いように感じられる。
フリースペースやセミナー室を用意
全国に7カ所の拠点を持つレンタルオフィス。船橋オフィ スは2014年2月にオープンし、ベンチャー起業家や個人 事業主などのためのスペースを提供している。スペースの 種類は、パーテンションで区切られたスペースやフリースペー スなどのほか、鍵付きの個室もある。48人収容可能なセ ミナールームも併設し、セミナーや勉強会の開催も可能。 渋谷、六本木、汐留、大阪、名古屋などの他地域でも同 様に利用できるのも魅力となっている。
フリースペース
運営責任者の蛸俊佑さん
各種セミナーにも利用されている
住/船橋市湊町2-12-24 湊町日本橋ビル6階
TEL/0120-973-976
営業時間/平日10:00 〜17:00 (会員は土・日曜も利用可能)
休/なし
2017年4月にオープンしたリフォーム会社「誠建クリエー ト船橋本店」では、同日、敷地内にログハウスの駄菓子屋 「ログの駄菓子屋さん」もオープン。「駄菓子屋は地域住 民のみなさんに喜んでいただくことを目指して作りましたが、 もともと駄菓子屋が好きな社長の夢でもある」と広報部の 鈴木さん。社屋内の一部スペースを開放し、地域の人が 気軽に集えるスペースにもなっている。

木下街道沿いにある社屋。ログハウスがひと際目を惹く

店内は駄菓子を買い求める子どもたちでにぎやか

地域の人が集える場にもなっている、本社ショールーム
住/船橋市馬込西2-18-14
TEL/047-460-9661
営業時間/9:00〜18:00
休/月・火曜
保育園給食への こだわりを活かし、 食で地域に貢献するカフェ
津田沼駅からほど近い住宅街の一角にある、たちばな 保育園(船橋市前原西2-25-13)にはカフェを併設。「みんなが安心・安全に食事できる『たちばなごはん』で地域に貢献できれば」と、2015年3月にオープンし、2018年 5月にリニューアル。
2018年5月にリニューアルした店舗
ある日のランチメニュー「豚菜丼」(サラダ、スープ付きで600円)
土曜日には特に多くの人が訪れる
住/船橋市前原西2-24-7
TEL/ 047-409-6377
営業時間/8:00〜16:00 (LO15:30)
休/日・水曜、祝日ほか
オフィスの1階を 地域に開かれた場に
製造過程において食品添加物を使用せずに、商品づくりを行っている食品会社・石井食品。2014年8月、船橋・本町にある本社1階にコミュニティスペースをオープン。「食文化・健康・地域交流」をテーマに、イシイの商品直売、 レストラン、各種イベント運営を行っている。キッズスペースや食に関する書籍も常設され、老若男女が気軽に憩うことができる。
レストランスペースでは「ミートボール丼」などを提供
住/船橋市本町2-7-17
TEL/0120-35-3220
営業時間/月・土曜10:30〜17:30、火〜金曜は19:00まで
休日曜、祝日 ※施設利用状況などにより変更あり
地域での高齢者見守り活動と 子どもたちの居場所作りに一役
2019年5月にオープンしたサービス付き高齢者向け住宅の館内には、学校帰りの子どもたちが遊びに来ている光景も見られる。地域とのコミュニケーションの場として一役をかっているのが館内の「駄菓子屋」。「入居者さんが店番を買って出ることもあり、自然と子どもたちと関わり合い、 子どもたちを見守るという役割を得て、入居者さんもいきいきとしてきます」と所長の大下誠人さん。
敷地内には飲食店「恋する豚研究所LUNCH TABLE」も併設
敷地内の一面に設けられた駄菓子屋
住/船橋市夏見2-16-12
TEL/047-421-1700
営業時間/9:00〜18:00
休/水曜
敷地を生かして 地域コミュニティの場に
2011年6月に第1期区画をオープンした同園。霊園管 理会社である石和石材(船橋市馬込町)代表の金子和哉さんは、「ゆくゆくは霊園利用者ではない方でも気軽に来てもらえる場所にし、地域のコミュ二ティの場にしていきたい」と話す。法要施設を兼ねたコミュニティハウスでは、飾り巻き寿司教室や写経、ヨガ教室などを行うほか、休憩スペースでは市内ジェラート店「アルトポンテ」(船橋市金堀町)のカップアイスの販売もする。
管理会社の代表・金子和哉さん。地域の「おでかけマップ」も発行する
不定期で写経イベントなどを開催
今年夏には親子向けイベントも敷地内で開催
住/船橋市楠が山町275-1
TEL/0120-080882
営業時間/9:00〜17:00
休/木曜
食育に力を入れる園で 食事を楽しみながら交流できる子育て広場
食育に力を注ぐ夏見台幼稚園・保育園では、2018年 秋に新たな子育て支援事業として「親子登園広場 なつみの森」をスタート。地域に住む0~2歳の子どもとその保 護者を対象とし、親子で食事を楽しみながら交流できる子育て広場やベビーマッサージ講座を開催している。そのほか市内のママ向け子育て情報誌「Mamachi (ママチ)」編集部も兼ね備え、地域のみならず市内に住むママたちの交流拠点を生み出している。
食に関する親子向け講座も多数開催する
「Mamachi」に関わりたい人が自由に集える場所にも
うどんを手作りする教室も開催した
住/船橋市夏見台2-16-1
TEL/047-429-7231
琉球ガラスとコラボした 花屋で算数教室も
「自分の住む街を、花のある街にしたい」と北習志野出身の内田祐介さんが2018年3月にオープン。店先では花を販売し、店内では内田さんが沖縄で惚れ込んだ沖縄琉球ガラスの作品も販売。さらに、内田さんが店頭に立っている時間帯のみ、算数教室も開催する。内田さんは「行かされているという感覚ではなく、子ども自身があそこに行って宿題や勉強をしたいと思える場所にしたい」と話す。
店頭には、質にこだわった花苗が並ぶ。色数も豊富
算数教室用のスペース
琉球ガラスの販売も
住/船橋市二宮2-4-10
TEL/047-463-9779
営業時間/火・木曜13:00〜17:00、 土・日曜10:00〜17:00
休/月・水・金曜、 季節によって変動あり
※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください