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2011年9月 1日 |
「太鼓は神様の目覚まし時計」と教えてくれたのは僕のじいちゃんだ。
神様ってのは気まぐれでたまにはお寝坊をしてしまうときがあって僕たちが本当に「神様、おねがい」ってことになっても知らん顔していびきをかいている。お祭りの時もそう。みんなでいつも見守ってくれている神様をもてなそうって大騒ぎをするけれど、神様は神社の奥に引き込もってなかなか出てこない。だから太鼓を叩いて神様を呼ぶんだって言っていた。
—ドンドンドン、ドンドコドン。
ドンドンドン、ドンドコドン
同じ音を叩いていてもダメなんだって。生まれる前にお腹の中で聞いた音みたいで気持ち良くてもっと寝てしまうから。だから時々ふちを叩くんだ。
—カラカッカ、カラカッカ、たまにびっくりするくらいの高くて響く音を出すんだ。
だから僕も叩いたよ。じいちゃんがお寝坊したまま起きなかったあの朝。太鼓がなかったからリコーダーでランドセルを何度も叩いたんだ。でもじいちゃんは目覚めなかった。きっとカラカッカがなかったからだ。
今年の盆踊りは本物の太鼓を叩くよ。たくさん練習したんだ。皮が向けて赤くなった手は痛いけれど、ドンドコドンもカラッカもじいちゃんに聞こえるように精いっぱい叩くよ。もう、一度会いたいなぁ。
<了>
【筆者プロフィール】
深澤竜平
昭和52年、山梨県生まれ。
2006年、船橋市に転居し翌年から小説創作を開始する。
2011年「応援席のピンチヒッター」にて「第23回船橋文学賞」を受賞。
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