赤紫、ピンク、赤のゼラニウムの花びらが日を浴びてかがやいている。
ユキは公園のベンチにランドセルをおいた。
「学校、たのしい?」
花山のおばさんの声だけがひびいている。
「はやくプールに入りたいなあ」
一年生だな。おじいちゃんもなんか言ってよ。
にこにこ笑ってばかりいないで。
家族みんなが応援しているんだから。
今度は、二年生ぐらいの女の子が二人。おじいちゃんの前で止まった。
「おかえり」
おじいちゃん、もっと声出るでしょう。
「ねえ、おじさん。クイズだよ」
丸顔の女の子。ちょっとすましたところがあやしい。
「テブクロの反対なあに」
おじいちゃんは首をかしげている。
しばらくしてから、ゆっくりと口をひらいた。
あ、だめ。ユキは声が出そうになる。
「ロ、ク、ブ、テ?」
「おじさん、手を出して」
今度は目の大きな女の子。ぴちっといい音がした。
二人の女の子が、かわるがわるおじいちゃんの手のひらを六回たたいた。
「なんでえ?」
と、花山さん。おじいちゃんはニコニコしたまま。
「だって、ロクブテだから、六回ぶたれるの」
「あ、そうかあ」
おじいちゃんはうれしそうに笑った。大きな声で笑った。
ユキは、久しぶりにおじいちゃんの大きな声を聞いた。
「だめじゃん、おじいちゃん。ひっかかっちゃあ」
ユキは思わず大声を出してしまった。
「なんだ、いたのか。ユキ」
花山さんも笑っている。
夕食後、ユキがお兄ちゃんとテレビを見ていると、
おじいちゃんがリビングに入ってきた。
二人の間にすわると、おじいちゃんはニヤッと笑った。
「リュウ。テ、ブ、ク、ロの反対はなんだ?」
お兄ちゃんは目をぱちくり。
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