2009年7月14日 | 記事URL
創元推理短編賞受賞作を含む
「奇蹟」の連作ミステリー
城壁をすり抜けて進撃する軍隊、消えた都市が半年後にふたたび現れる奇蹟……。こんな不可思議な歴史ロマンを解き明かす壮大な推理を愉しみたいなら、『神国崩壊 探偵府と四つの綺譚』をオススメしよう。獅子宮敏彦は、四年前に戦国奇想ミステリともいうべき『砂楼に登りし者たち』(東京創元社)でマニアの注目を集めたが、今回は中国王朝と蒙古を併せたような架空世界に舞台を一新。高貴な人間の周囲で事件が起きた場合にのみ出動し、知恵のみで捜査に当たる特殊機関―探偵府の若き長官候補を主人公に、皇帝の側近殺害事件の真相に前述の壮大な謎を解くことで迫っていく。なんとも凝った構成で驚きをもたらす、今年必読の傑作ミステリだ!
書評・宇田川拓也
著者/獅子宮敏彦/出版社 原書房
本体/定価1995円(本体1900円)