2015年03月01日 配信

日本刀砥師 松村壮太郎さん

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「日本刀の砥師」と聞いて、いったいどのような仕事をしている人なのかと思う人も多いだろう。

静岡県出身で砥師3代目になる松村さん。松村さんが生まれる前に他界した松村さんの祖父が、刀好きが高じて独学で砥師として独立。2代目である父親も、人間国宝の小野光敬氏に弟子入りをした。しかし、松村さんは特に砥師を継ぐことを強く希望していたわけではなく、父親からの強制も一切なかった。「自分の進路について悶々と考える中、高校3年の夏からアメリカへ1年間だけ留学させてくれと父に頼んだんです」と松村さん。アメリカで過ごし

ているうちに砥師の家に生まれたことの意義、絶やしてはいけない貴重な技能に対し真摯に向き合うことができ、やってみようかと思えるに至ったという。そして、小野一門で父親の兄弟弟子であった栁川清次氏に弟子入りをし、氏が千葉県佐倉市在住だったことから、松村さんは19 歳から10年間佐倉市で修業を積んだのだった。

仕事は、刀剣収集家や刀剣商、博物館、美術館からの依頼が主になる。「切れるようにすることは大前提で、いかに本来持っている刀の性質を美しく引き出せるかがポイントです」と松村さん。刀には人間でいう指紋のような刃文があり、その文様をいかに美しく魅せられるかが腕の見せ所なのだ。

松村さんはこれまで、「刀剣研磨技術発表会」にて特賞に値する「木屋賞」や「竹屋賞」を4年連続獲得。「仕事をしていく中で、どんどん刀の魅力とその奥深さにはまっていき、日本刀を、そしてこの技術を後世に遺していかなければならないと責務を感じるようになりました」とも。

千年もの間、日本人が大切にしてきた日本刀。歴史の偉大な人物たちが手にした刀も少なくないことから、身の引き締まる思いで刀に対峙しているという。

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工程により使う砥石を変え、仕上げる
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作業場での仕事は孤独との戦い
◆松村壮太郎さん
プロフィール ◇1979年 静岡県島田市生まれ
1997年 アメリカミズーリ州 モーバリー高校へ1年間留学
1999年 佐倉市在住 栁川清次氏のもとへ弟子入り
2009年 日本刀砥師として独立して船橋市に転居

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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