ふなばしこんな会社

地域のつながりで「おかげさま」経営
ボーイスカウトで後継者育成も

太田さんは宮城県生まれ。学校を卒業し訓練校で旋盤工としての技術を身につけ上京、富士重工系の小型エンジン製造会社に就職した。職人として技術を磨くかたわら定時制高校の機械科でも学び、更に会社の援助を受けて溶接専門学校でも学んだ。

昭和42年に妻の君江さんと結婚、同じく職人だった義父に職人の生き方を教わった。45年、27才で独立し、48年には消防団にも入団、長男の康雄さんのボーイスカウト入団を機に自身もボーイスカウトに関わるように。ほぼ同時期に交通安全協会や法人会にも入会し地域の仕事を率先して手伝うようになると、生来の真面目さが認められ様々な仕事を任されるようになっていった。

一方、本業では「薄利な量産品ではなく、小ロットで高付加価値なもの生産しよう」と、業態の転換を図っていたところだった。旋盤工としての太田さんの技術力を評価したY金属工業から受注が入るようになり、消防団のつながりで後の主力顧客となるT鉄工やN電気工業との取引も始まった。

現在同社は4～5社の仕事を請け負っているがそのほとんどが「他の旋盤工には任せられないが太田さんなら」という職人技を要求する製品の依頼ばかりだ。太田さんが小ロット高付加価値の手作り品を扱い、康雄さんが、最先端のマシンを使った業務を中心に受ける。親子が揃っていることで古いものから新しいものまで対応可能な同社。子どもの頃から育んできた絆が不景気を吹き飛ばす。

◆オオタ精機

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