2012年04月01日 配信

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彼らの生きにくさを、生きる楽しさと強さに変えてあげたい。
社会の一員として、元気に働いてほしい。

皆さんにとって、「生涯で一番うれしかった日」は、いつでしょうか?私にとってのそれは、我が家に天使がやってきた日です。天使は、ちいさな手足をけんめいに動かし、ちいさな口を精一杯あけて泣き、ぎこちなく抱きかかえる両親に、言葉では表せない幸せを与えました。真の幸せと健康を願って、その天使に真康(まさやす)という名前をつけ、うれしくて、うれしくて、夢中で育てて3年経ったころ、真康が自閉症と知的障害をもっていることがわかりました。真康の育ち方がとてもゆっくりなのは、個人差ではなく、これからも治ることのない障害が原因だった。まぶしい太陽の下から、急に真っ暗なトンネルの入り口に立つことになったこの日が、私にとって「生涯でもっとも落ち込んだ日」だと思います。障害や福祉という言葉は、別の世界のこと。そういう人生を歩んできた私に与えられた、まったく未知の分野へのチャレンジ。今まで思い描いていた「ごく普通のあたりまえの将来」を、一から描き直す試行錯誤のはじまりです。

ここで、自閉症についてご説明いたします。

・先天的な脳の障害です。「自ら閉ざす」と読めますので、その語感から「引きこもり」などと誤解されがちですが、自閉症は心のトラブルではなく、障害です。
・1000人の赤ちゃんが生まれると、2人(狭義の自閉症)から6人(広義の自閉症)ほどがこの障害をもって生まれてきます。この値は世界共通です。
・一見しただけでは障害がある事がわかりづらい場合があり、親の育て方やしつけの間違いによるものと誤解されやすいです。
・自閉症者に共通した特性としては、以下の7つが挙げられます。ただしそれぞれの程度には大きな個人差があります。

①発語がないか、あってもTPOに応じて適切に使うことが苦手。
②思考や行動に柔軟性をもったり、先の見通しをもつことが苦手。
③社会の中で周囲の人と適切な関係を築くことが苦手。
④興味の対象が限定的で、一見するとどうでもよいことに強いこだわりをもつ。
⑤得た情報を取捨選択したり、物事の優先順位を判断することが苦手。
⑥体の感覚が特殊であり、極端に敏感な面と極端に鈍感な面を併せもっている。
⑦目から得た情報処理は得意。耳から得た情報処理は苦手。

これらの特性を抱える自閉症者の毎日は 「生きにくさ」がいっぱい。
でも彼らの視点に立てば、純真な彼らの楽しみや、得意なことが見えてきます。

彼らの生きにくさを、生きる楽しさと強さに変えてあげたい。社会の一員として、元気に働いてほしい。船橋市自閉症協会は、そういう思いの親の集まりです。勉強会やレクリエーションを通じて自閉症の理解を深めたり、必要な支援を行政や地域の方々にお願いするなどの活動をしています。会員の多くが勉強熱心でバイタリティにあふれていることと、わが子のことのみならず、関わりのある当事者全体に気配りをしていることにいつも感心します。それが幸いしたのか、私たちは活動を通じて、よき出会いに恵まれ続けています。そして得たもので道がひらかれたり、次の一歩を踏み出すきっかけになっています。

現在中学生の真康が一日一日を精一杯生きている姿は、天使がやってきて小さな手足を懸命に動かしていた姿と重なって見えます。あの日が生涯で一番うれしかったように、いま、「真康を授かったあの日、やはり最高の人生が始まっていた」という思いがつよくなっています。誰もが使命をもって産まれた、たったひとつのかけがえのない命ですから。

船橋市自閉症協会事務局
電話番号 047‐424‐2401(高橋方)
メール info@kamomekai.lolipop.jp
URL http://kamomekai.lolipop.jp/

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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