2012年01月01日 配信

知的障害をもつ方々の安心、安全、そして生きがいのある生活の実現を目指して

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社会福祉法人大久保学園は、開設40周年を迎えます。
 昭和46年に社会福祉法人を設立し、翌47年に成人の知的障害者を対象とした「入所更生施設」を開設したのが丁度40年前であります。定員50名、職員18名でスタートした大久保学園は、現在、定員が108名となった旧法上の入所更生施設と船橋市よりの指定管理による運営を含む二つの通所による事業所、更には地域移行を推進するためのグループホーム・ケアホームが13ヵ所、そして就労支援や地域生活を支える為の地域生活支援センター(障害者就業・生活支援センターも併設)の設置運営を行っております。各事業の利用者の実数は400名を超え、これらの事業を支える職員は140名となっております。それぞれの事業所が役割分担と連携を適切に行い、利用者さんのよりよい生活実現の為に、大久保学園の事業展開の総合性が役に立つように日々努力しているところであります。
 40年の長きにわたって、私たち大久保学園が知的障害の支援の為の各種事業を滞ることなく継続し充実してこれたことは、利用者の皆様とその保護者の方々、行政関係各位、そして地元船橋市豊富地区の皆様のご理解、ご支援があったからこそと深く感謝しているものであります。
 今後、折角の機会を頂きましたので、大久保学園のそもそものスタートともなった知的障害者の入所施設の現状を中心として紹介させて頂きたいと存じます。
 我が国の知的障害の大人の方の入所施設の制度は昭和35年の知的障害者福祉法の制定からはじまります。以来知的障害福祉の中心として入所施設は機能してきました。その後約45年間の措置(施設入所は行政の責任で行う)の時代を経て、ここ10年程は支援費制度、障害者自立支援法による制度と変遷してきました。そして今、障害者自立支援法が全面施行される前に、その廃止が決定され、今後は新たに障害者総合福祉法による制度設計が平成25年度を目途に検討されています。このように福祉施策がめまぐるしく変化していく中で福祉現場は大混乱しているのが実状であります。
 これらの制度改革の必然性は、窮極のところ国の財政事情によるものでありますが、これらの制度設計において一貫して入所施設の存在そのものを否定していることが明白であります。改革の柱とされる障害を持つ方々の「就業の推進」も、生活の場を地域社会の中にすべきであるという「地域移行」の推進も何ら異を唱えるものではないのですが、入所施設は障害者の支援の手段としてはよろしくないという断定には納得しかねます。とりわけ障害者総合福祉法の制定のための検討においては地域移行を法定化し、地域生活を営む上で必要な社会資源を整備するために「地域基盤整備10ヵ年戦略」を策定するとしています。今後10年間で入所施設をなくしていくともとれます。
 このような流れのなかにあって、大久保学園では、私たちの実践は入所施設の有効性を実証するものであり、利用された方々に「大久保学園があってよかった」と思って頂ける支援をしようというのが基本的な姿勢であります。その為には365日24時間の支援なることの長短を私たちがよく理解し、利用される方々やその保護者さんへの心情を斟酌することが、重要であると考えています。
 また、入所施設だけで、利用者さんの生活上の課題のすべては解決されないことの理解も大切であります。高齢化や障害の重篤化、複合化等による一層の生活上の困難の克服のために、法人の総合性を整備するとともに他機関との連携も必要であると認識しています。
 事業を安定的に継続するためには大変困難な時代になってしまったと認識しているものですが、利用者さんとの情緒的な共感を支えに一層の生活の向上の為に不断の努力を続ける職員集団を希望の星としながら、知的障害をもつ方々の安心、安全、そして生きがいのある生活の実現、又地域での生活を支える社会資源のひとつとしてその使命を全うしていきたいと思います。
 今後ともご理解、ご指導の程お願い申し上げます。

社会福祉法人 大久保学園
船橋市金堀町499-1
TEL:047-457-2462

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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