2011年11月01日 配信

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幼い日、知らない道ごっこなどと言って、学校への道順を変えるのはひそかな楽しみだった。

そして今、その楽しみを復活させている。五歳の孫娘との登園。雨が降らない日は二人で保育園までの二十分を歩くのだが、そのたびに違う道を二人で決める。

我が家と保育園の間には船橋グリーンハイツがあって、棟と棟の間を組み合わせればとても複雑な行き方が現れる。

かつては三千所帯、一万人近くが住んでいた団地も今は若者を中心に多くの人々が去り、高齢化した静かな佇まい。

その雰囲気に反比例するようにあちらこちらの空き地に植えられた花々は華やかだ。

ほんの少しの地面をきれいに耕してミニ花畑がどの小道を選んでも出現する。

「ばばちゃん、この花なあに」途切れない質問にありったけの知識で答える。

日日草、松葉ボタン、マリーゴールド、むくげにさるすべり。

オウム返しに、歌うように花々の名を繰り返す幼子。

「明日はどんな花に会えるかなー。楽しみ」無邪気なセリフに明日を信じることができる幸せを想う。

不条理に明日を失う哀しみがあることを知るのは、まだずっと先の無垢の笑顔。

「そうね、明日も元気よく歩こうね」と約束の指切り。

なんでもない、けれども大切な、私の朝。

【筆者プロフィール】
砂田 清子
山梨県出身
昭和50年船橋市に転居、同年 東京新聞ショッパー社 編集記者
53年春から東武百貨店船橋店勤務 広報主幹
平成9年 船橋市教育委員に就任 2期8年
県立学校改革推進プラン検討委員会委員 
船橋地域福祉 介護 医療福祉推進機構理事他 
著書に「素敵人生」「40代こころ風景97」「悩まないで考えて」
「僕 おじいちゃん大好き」

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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