2011年04月01日 配信

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長くて細いごぼうが歩道の端っこに横たわってしまった。私と自転車は惰性でかなり走ってしまった。

こんな時素早くスピードを緩め、姿良く降車したいと願いつつ、このごろこの一連の動作に老いを感じ始めている。

平たく言えば走っている自転車を急停車して降りることが上手くゆかないのである。この場面のような時はなおさらである。ちょっとの恥ずかしさが動作をぎこちなくする。

前方から小学生らしき少年が来た。やっとこさ自転車を片側に寄せる私をまず視線に入れ、次にかなり先にころがっているごぼうの存在を彼の視線が捉えた。一瞬私とごぼうを交合に見た。そしてすぐ彼はこの一連の状況を理解したのだ。

私の目をまっすぐ見てにっと笑い、次の瞬間ごぼうに向かって猛ダッシュ。両手に余る長さのごぼうを捧げるように持って私に渡してくれた。
嬉しかった。「どうもありがとう」と深くお辞儀をしてごぼうを受け取り

「とても助かりました」ともう一度会釈をした。

少年はくるりと後ろを向いて走り始めたけれどすぐに振り向いて「おばさん、さようなら」と手を振ってくれたのだ。

思いがけないほどの喜びを子どもというものはもたらしてくれる。一目でこれか習
い事に行くスタイルの彼に「行ってらっしゃい」と私も大きな声で返礼をした。

平成二十三年春始まりの日、胸は春爛漫。

【筆者プロフィール】
砂田 清子
山梨県出身
昭和50年船橋市に転居、同年 東京新聞ショッパー社 編集記者
53年春から東武百貨店船橋店勤務 広報主幹
平成9年 船橋市教育委員に就任 2期8年
県立学校改革推進プラン検討委員会委員 
船橋地域福祉 介護 医療福祉推進機構理事他 
著書に「素敵人生」「40代こころ風景97」「悩まないで考えて」
「僕 おじいちゃん大好き」

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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