株式会社川市 代表取締役 川島敏幸さん
川島敏幸さんは、船橋市地方卸売市場内で鮮魚仲卸業を営む川市の代表取締役。同社の創業は1840年、天保年間に東京湾でスズキやサヨリ、シャコ、アナゴ、ワタリガニ、キス、ボラなど江戸前の魚を獲る漁師として生業をおこした。同社の当主は代々市太郎を名乗ってきた。
「第二次大戦混乱期、5代目当主の祖父から仲卸業に特化。5代目から7代目の私までは『市太郎』を襲名せず本名をそのまま名乗ってきましたが、息子は『市太郎』と名付けました」と、敏幸さん。
敏幸さんが代表に就いたときは市内に100店舗ほどあった個人の魚屋も現在は数えるほど。今年初めに組合も解散したという。市場が転換期を迎えているのだ。魚屋は店を閉め、代わりにスーパーや大手チェーンが浜や漁師と直接契約で魚を仕入れるようになってきた。浜と直接取引すれば鮮度は高い。しかし、豊富な魚種を安定的に並べるのは難しくなる。
「市場なら全世界の魚を集められるので、多くの魚種をそろえられます。また、大量輸送で運賃の大幅削減を実現可能です」敏幸さんは、運賃分の利益幅と豊富な魚種という選択肢で市場に利があると分析する。「要望があれば2日前に注文してくれれば大抵のものはそろいます。ただし、時化などで獲れない場合もありますが」とも。
「プロの方は4時~6時に仕入れに来る。一般の方は8時以降にいらして頂ければ、ゆっくり接客できるので魚の選び方など丁寧にアドバイスできます」と話す。
市場業界は今全国から熱い注目を浴びている。築地の移転問題で世間を騒がせているが、敏幸さんは「今が逆にチャンス」と考える。移店の準備をしていた業者は動きが取りづらい。これまで築地に仕入れに行っていた県内の人も、近場の市場で仕入れをする可能性がある。
「将来的には、船橋市場も場内と場外で分け、プロ用の仕入れ店舗と一般の方向けの小売専門とで、しっかりとルール分けすることも、開かれた市場になるための要因のひとつと考えている。
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